講演情報

[I-SY3-5]心室期外収縮の標準治療―カテーテルアブレーションか薬物療法か?

泉 岳 (北海道大学小児科・集中治療部)
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キーワード:

心室期外収縮、不整脈薬物治療、アブレーション

小児の心室性期外収縮はほとんどが基質的心疾患を伴わない、いわゆる特発性心室期外収縮であり多くは自然治癒する。治療適応は様々なガイドラインにより示されている。今のところ、国内ではアブレーション・薬物治療ともに心室期外収縮に対するクラスI適応はないが、薬物治療・非薬物治療それぞれのガイドラインで記載されているニュアンスが異なるために混乱する。今のところ、クラIIaとして1. 有症候性、2. 頻拍誘発性心筋症・心不全、3. 心室頻拍の誘因になる心室期外収縮、とまとめるとわかりやすい。外来フォローアップにおいては2.のリスクと3.の心室期外収縮の特徴をおさえながら、症候性かどうかを確認する。治療適応がある場合の標準治療がカテーテルアブレーションか薬物治療か?については日本のガイドラインでは明確にされていない。いずれの治療においても心室期外収縮の起源部位診断を経て考慮することになる。アブレーションについては日本では右室・左室流出路起源をクラIIa、それ以外の起源をクラIIbとしているが、ESCガイドラインでは右室流出路と左室束枝起源をクラスIとしており、欧米ではアブレーションが優勢になってきている。すでに心筋症・心不全を生じている例やその要因となる心室頻拍を生じるような例に対しては、陰性変力作用を有する抗不整脈薬を使用せずに、安全性が担保されてきているアブレーションを考慮する方向性になるのは当然の流れと思われる。ただし、すべての心室期外収縮をアブレーションで対応することは難しく、薬物治療も重要な位置を占めている。体格が小さくアブレーションが難しい例で、心筋症・心不全例、そこまでには至っていないものの有症状の頻発例などがよい適応になる。薬物治療の場合にも心室期外収縮起源部位診断別に薬剤を選択することになる。