講演情報

[I-SY4-2]心疾患治療への応用を目指したミトコンドリア標的型Drug Delivery Systemによる移植幹細胞の機能改変

丸尾 優爾1,2, 白石 真大1, 日比野 光恵2, 佐々木 大輔1, 阿部 二郎1,2, 武田 充人1, 山田 勇磨2 (1.北海道大学小児科学教室, 2.北海道大学大学院薬学研究院)
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キーワード:

間葉系幹細胞、ミトコンドリア、コエンザイムQ10

我々は、ミトコンドリア標的型Drug Delivery SystemであるMITO-Porterを使用し、心臓由来細胞ミトコンドリアに対して、ミトコンドリア機能性分子であるレスベラトロールやコエンザイムQ10(CoQ10)を導入したミトコンドリア活性化心臓由来細胞(MITO cell)の開発に成功してきた(Abe et al., J Control Release, 2018; Sasaki et al., Sci Rep, 2022)。さらにマイクロ流体デバイスを用いることで、CoQ10を封入したMITO-Porterを大量に調製することに成功した(Hibino et al., J Pharm Sci, 2019)。そしてドキソルビシン心筋症モデルマウスや心筋虚血再灌流傷害モデルマウス・ラットに対するMITO cell細胞移植療法は、従来の細胞移植療法よりも高い予防・治療効果があることを報告した(Abe et al., J Control Release, 2018; Shiraishi et al., J Control Release, 2024)。しかし、MITO cell作製のための心臓由来細胞の調達には外科的処置が必要であり、採取できる細胞数にも限界があり、臨床応用のためには大量精製が可能で汎用性の高い細胞移植用幹細胞を探す必要があった。そこで我々は、臨床応用の進んでいる間葉系幹細胞(MSC)に新たに着目し、CoQ10を封入したMITO-Porterによって、MSCのミトコンドリア機能を改変できることを見出した(Maruo et al., Biol Pharm Bull, 2024)。ミトコンドリア機能を改変したMSCの有効性について動物モデルを用いて実証し、臨床応用へ向けた橋渡し研究を行うことを目標としている。