講演情報

[II-CPD4-4]ファロー四徴症類縁疾患に対する自己組織心臓弁(導管付き生体弁と経カテーテル的生体弁)の開発

武輪 能明1, 井上 雄介1, 寺澤 武1, 佐藤 康史1, 藤本 一途2, 白石 公2 (1.旭川医科大学 医学部 先進医工学研究センター, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

自己組織心臓弁、TPVI、生体内組織工学

ファロー四徴症類縁疾患は、乳児期に行われる外科的根治術{心室中隔欠損孔閉鎖および右室流出路拡大術(もしくはラステリ手術)}の成績は改善し、根治術後の患者の生存率は向上している。しかしながら術後の遠隔期、特に成人期では導管のサイズや人工弁の狭窄閉鎖不全の問題から肺動脈弁狭窄及び閉鎖不全による右室拡大、右室機能不全、二次的な三尖弁閉鎖不全、心室及び心房不整脈が出現し、生活面へ長期にわたる支障が生じる患者が増加し問題となっている。一部の症例では経カテーテル的再肺動脈弁置換術も行われるが、その後も置換弁の劣化による再々手術の可能性は残存する。これらの問題は、根治術に使用される導管や人工弁が人工材料や異種心膜シートなどでできているため、患者の成長に適応できないことにより生じている。この問題を解決するためには、根治術に使用される導管や人工弁および再手術での経カテーテル的肺動脈弁が、長期耐久性を持ち、患者の成長に適応できる材質、例えば自己組織から出来ている事が望まれる。われわれは、患者の体内で組織を作製する技術(生体内組織形成術)を用いて自己組織からなる生体心臓弁(バイオバルブ)を作製する方法を開発している。今回、ファロー四徴症などの根治術に用いる自己組織導管付き人工肺動脈生体弁、ならびに根治術後に生じる肺動脈弁疾患に対し使用する経カテーテル的に留置可能な人工肺動脈弁の開発において、これまで行ってきた大動物(ヤギ)を用いた慢性実験による、実現可能性評価と弁留置後にバイオバルブ自身が通常の弁に近い組織構造に変化することを証明した画期的な成果について紹介し、臨床応用へのチャレンジについて語る。