講演情報

[II-CPD4-5]小児用超小型人工心臓の開発

栗田 伸幸1,2, 安達 偉器1,2, 王 雅欣3 (1.ベイラー医科大学, 2.テキサス小児病院, 3.テキサス心臓研究所)
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キーワード:

機械式循環補助、小児用人工心臓、磁気浮上技術

小児用超小型補助人工心臓は、先天性心疾患や心不全を抱える小児患者に対する新たな治療選択肢として高い臨床的ニーズがある一方で、成人用補助人工心臓と比較して市場規模が小さく、また小型化に伴う技術的課題も多いため、開発が大きく遅れているのが現状である。こうした課題に対処すべく、群馬大学、ベイラー医科大学、テキサス小児病院、テキサス心臓研究所の共同研究チームでは、軸流型および遠心型の2種類の人工心臓の開発に取り組んでいる。両デバイスは、完全非接触型のインペラ駆動機構を採用し、血液損傷の最小化と長期耐久性の両立、さらに体腔内植込みを可能とする超小型化を目指している。軸流型ポンプは最大外径12 mm・長さ80 mmという極小サイズながら、揚程70 mmHg・流量2 L/minを達成し、これまでに2回の急性動物実験を実施した。一方、遠心型ポンプは外径40 mm・高さ40 mmの構造で、目標定格回転数1500 rpmに対し、2000 rpmまでの安定した磁気浮上回転制御に成功している。現在は、さらなる安定性と信頼性の向上を目指し、装置の高性能化、疑似循環系を用いた流体試験、in vitroでの血液適合性評価、慢性動物実験に向けた準備を進めている。本講演では、設計思想から試作・評価に至る開発プロセスを紹介し、今後の臨床応用に向けた課題と展望についても言及する。