講演情報
[II-JCCJS-1]デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー症合併心筋症の管理
○武田 充人 (北海道大学大学院 医学研究院 小児科学教室)
キーワード:
DMD/BMD心筋症、心不全、心臓MRI
Duchenne型(DMD)筋ジストロフィー症は、かつて呼吸不全により20代前半で死亡する疾患であったが、呼吸リハビリや夜間の非侵襲的人工呼吸などの管理向上により寿命が延伸し、2000年以降は心不全が主要死因となっている。また、Becker型(BMD)筋ジストロフィー症でも重篤な心不全の発症が知られており、DMD/BMD合併心筋症として注目されている。本疾患は拡張型心筋症類似の病態を呈するが、初期段階では心拡大を伴わず心収縮障害から始まる点が特徴的である。左室駆出率(LVEF)異常の平均発症年齢は14.3歳とされるが、DMDでは歩容の消失により心不全症状が目立たず、BNPも上昇しにくいため、心不全の診断が遅れる傾向がある。よって、心エコーや心臓MRIといった画像評価が重要となる。心筋の置換性線維化は左室側壁心外膜側から始まり、年齢とともに全周性、貫壁性に進行する。線維化の進展によりLVEFが低下し、その後左室拡大を来す。心臓MRIは体格や側弯などの影響を受けにくく、左室機能や壁運動、さらには遅延造影法やT1マッピングによる心筋組織性状の評価が可能であり、DMD/BMD心筋症管理において極めて有用である。近年では、心機能が保たれている段階からのACE阻害薬による心保護療法の導入が推奨されており、早期診断・介入の重要性が増している。本セッションでは、DMD/BMD心筋症の最新の管理戦略について概説する。