講演情報

[II-JCCJS-2]ライソゾーム病の概要と当院で経験したPompe病のライフステージによる変化

馬場 志郎 (京都大学医学部附属病院 小児科)
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キーワード:

ライソゾーム病、酵素補充療法、Pompe病

ライソゾーム病は、細胞内物質を消化する細胞内小器官であるライソゾームの機能不全により起こる。細胞内で不要となった糖質や脂質などの分解が行われないため、細胞内に蓄積し細胞機能不全を起こすことが知られている。心筋細胞についても同様であり、結果として新生児期・乳児期から心筋細胞肥大や心機能低下をきたし、多くが予後不良の疾患となる。原因によって40種類以上の疾患が知られているが、近年各自治体主導で行われてきつつある拡大マススクリーニングに、重症複合免疫不全症、脊髄性筋萎縮症とともにライソゾーム病 5疾患(ファブリー病、ポンペ病、ゴーシェ病、ムコ多糖症 I / II型)が加えられた。早期からの酵素補充療法を主とする治療が予後を改善するため、近年また今後 早期に診断された患者さんのQOLが大きく改善することを期待する。当院では、国内第一例目の酵素補充療法を行ったPompe病患者さんを経験した。最終的には20歳で永眠されたが、直前までは良好な循環を保っており、本患者さんの経過を提示しつつ今後の問題点も議論したい。