講演情報
[II-JCCJS-3]アミロイドーシス
○山本 昌良, 山田 優, 石津 智子 (筑波大学 医学医療系 循環器内科)
キーワード:
アミロイドーシス、二次性心筋症、家族内スクリーニング
アミロイドーシスは折りたたみ異常を起こした前駆蛋白質が特有のβシート構造に富むアミロイド線維を形成し、全身のさまざまな臓器に沈着し機能障害を起こす疾患である。心臓の間質にアミロイド線維が沈着し、形態的かつ機能的な異常をきたす病態を心アミロイドーシスとよぶ。アミロイド前駆蛋白は現在30種類以上同定されているが、臨床的に問題となる大部分が免疫グロブリン軽鎖由来のALアミロイドーシス、あるいはトランスサイレチン由来のATTRアミロイドーシスである。ATTRアミロイドーシスはトランスサイレチン遺伝子に変異のある遺伝性トランスサイレチン(ATTRv)アミロイドーシスと野生型(ATTRwt)アミロイドーシスに分けられる。ALアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシスともに近年の治療の進歩により予後の改善が得られるようになった。また、心アミロイドーシスを疑う“Red flag”も普及し、新規の診断症例数が飛躍的に増加している。形態的変化では心肥大が代表的所見であり、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の隠れた原因疾患であることも稀ではない。また、弁へのアミロイド沈着により大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症を引き起こす等、多彩な臨床像を呈することも知られている。心アミロイドーシスは小児領域において遭遇することは稀な疾患ではあると考えられるが、ATTRvアミロイドーシスは常染色体顕性の遺伝性形式をとるため、比較的若年から発症する可能性があり、家族内スクリーニングも考慮される。本講演では成人領域では注目を集めている心アミロイドーシスについて、基本的な疾患概念から診断、治療について概説させていただく。