講演情報

[II-JCCJS-4]心臓サルコイドーシス:診断・治療update

草野 研吾 (国立循環器病研究センター心臓血管内科)
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キーワード:

心臓サルコイドーシス、植込み型除細動器、重症不整脈

心臓サルコイドーシスは2次性心筋症の鑑別に上がる重要な疾患である。サルコイドーシス自体は全身疾患であり、一般的には良性疾患とされているが、心臓病変の有無(心臓サルコイドーシス)はサルコイドーシス患者の予後を決定する重要な因子であり、諸外国に比べ、日本では心臓サルコイドーシスの合併が多いことが報告されている。症状はごく軽微なものから、心機能低下による心不全発現、重症不整脈による突然死など極めて多彩である。治療の基本は免疫抑制薬であるが、特に重症心臓サルコイドーシスと考えられる以下の症例、1)持続性心室頻拍/心室細動例、2)高度房室ブロック例、3)低心機能(左室駆出率35%以下)では、いずれも植込み型除細動器や恒久型ペースメーカ、さらに心臓再同期療法など、積極的な非薬物治療の適応となる場合が多い。2017年日本循環器学会から、心臓サルコイドーシスに対する初のガイドラインが出版され、致死的心室性不整脈に対する1次予防、2次予防としての植込み型除細動器(ICD)の適応については、さまざまな臨床的背景や所見(ペースメーカ適応、原因不明の失神、心機能、非持続性心室頻拍、MRI所見、PET/Ga所見など)に電気生理学的検査を組み合わせてICD適応を細かく決定することが提案された。さらに、2024年3月に、Focus updateとして、心臓サルコイドーシスに対するICD適応の範囲が広げられた。今回の講演では、多施設コホート研究の結果も併せて、心臓サルコイドーシスの診断治療のトピックスについて報告する。