講演情報
[II-JHRSJS-4]小児・CHD患者への新しいデバイス治療の応用の可能性
○芳本 潤 (静岡県立こども病院 不整脈内科)
キーワード:
植え込み型デバイス、小児、機器の応用
近年、植え込み型デバイス技術は目覚ましい発展を遂げている。デバイス本体においては、心房抗頻拍ペーシング機能付きペースメーカが上市され、先天性心疾患術後の植え込みが推奨されるに至った。リードレスペースメーカの登場も革新的であり、当初のVVIモードに加え、振動センサーを用いた擬似VDDモード、さらには心房留置による完全DDDモードを実現した最新機種も登場している。しかしながら、一般的にリードレスペースメーカの電池寿命は10年程度であり、長期にわたる植え込みが必要となる小児患者においては、将来的な再手術のリスクや電池交換の負担を考慮する必要がある。皮下植え込み型除細動器(S-ICD)の課題であったペーシング機能についても、新たなExtra-vascular ICD(EV ICD)システムにより心室ペーシングが可能となった。植え込み型心電計(ICM)も植え込み手技が簡便化され、遠隔モニタリングによる精緻な診療への貢献が期待される。これらのデバイスは主に成人、特に高齢患者を対象として開発が進められてきた。スクリューインタイプのリードレスペースメーカでは抜去も可能となったが、長期的な安全性についてはさらなる症例の集積が求められる。本発表では、これらの最新デバイスの進歩を紹介するとともに、小児循環器領域における臨床応用、特に長期的な管理における課題と可能性について検討する。小児特有の解剖学的特徴や成長に伴う変化に加え、デバイスの耐久性や将来的な再手術の可能性などを考慮した上で、これらの革新的な技術が小児患者の予後改善にどのように貢献できるかを探る。