講演情報

[II-OR17-01]単施設における先天性心疾患に合併する先天性門脈体循環短絡の検討

村上 卓1,2, 野崎 良寛2, 今川 和生1,2, 石踊 巧2, 矢野 悠介2, 林 知洸2, 高橋 実穂3, 堀米 仁志4, 高田 英俊1,2 (1.筑波大学 医学医療系 小児科, 2.筑波大学附属病院 小児科, 3.筑波メディカルセンター病院 小児科, 4.茨城県立こども病院 小児循環器科)
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キーワード:

先天性心疾患、先天性門脈体循環短絡、肺高血圧

【背景】先天性門脈体循環短絡(CPSS)の約20%に先天性心疾患(CHD)を合併するが、多彩な症状を呈するCPSSの確立された管理・治療法はない。【目的】CHDに合併するCPSSの診断契機やCHDに及ぼす影響などの臨床像を明らかにする。【方法】過去20年に当院で診断された32例のCPSS のうちCHDを合併した8例(25%)について、CPSSの診断時年齢、診断契機、短絡血管の型、CPSS合併症と短絡血管治療、CHDと心臓手術、予後を後方視的に検討した。【結果】CPSSの診断時年齢は中央値2か月(日齢10~16歳)、診断契機は新生児マススクリーニング4例、CHD診療の画像検査3例(腹部エコー 1例、造影CT 1例・血管造影 1例)、高アンモニア血症1例であった。短絡血管の型は肝外5例、肝内 2例、肝内+肝外 1例で、合併症は肺高血圧(PH)3例、胃食道静脈瘤1例、肝性脳症1例であった。短絡血管治療はカテーテル治療2例、外科的結紮2例であった。CHD(重複あり)はASD 4例、PDA 2例、機能的単心室 2例、VSD 1例、DORV, PS 1例、CoA 1例、TAPVC 1例、先天性僧帽弁狭窄(MS)1例で、心臓手術は心内修復術 3例、僧帽弁置換術 1例、フォンタン手術 2例であった。予後は生存 7例で、PH発症前に血管治療が行われた内臓錯位、機能的単心室の2例はTCPCに到達したが、PH発症後に血管治療を施行した内臓錯位、ASDの1例はPHの改善なく肺移植を検討している。16歳時に肝性脳症を契機にCPSSと診断されたMS、ASDの1例は人工弁狭窄と心筋症によるPHと心不全のため死亡した。【考案】CHDを合併するCPSSの8例中3例がCHD診療の画像検査が診断の契機となり、うち内臓錯位、機能的単心室の2例はPH発症前に血管治療が行われフォンタン循環を維持している。PH発症後の血管治療ではPHの改善は認めなかった。【結語】CPSSを合併するCHD、特にフォンタン手術の適応となる内臓錯位、機能的単心室では、PH発症前の画像検査を契機としたCPSSの診断や血管治療が望まれる。