講演情報
[II-OR17-03]狭小肺動脈症例のFontan術後遠隔期成績及び血行動態の検討
○白石 修一, 渡邉 マヤ, 杉本 愛, 星名 雄太, 高橋 昌 (新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)
キーワード:
フォンタン手術、狭小肺動脈、遠隔成績
【目的】Fontan手術は周術期管理の改善及び適応の拡大に伴い、狭小肺動脈例でも到達例が増加している。狭小肺動脈例の術後遠隔成績及び血行動態評価を行う。【方法】2008年以降に当院で初回Fontan手術施行した73例を対象。術前PAI<200mm2/m2の31例(A群: HLHS 10, Heterotaxy 5, DORV 4, TA/TS 3, others 9)とその他42例(B群)の術後経過及び術後1/5/10年時の血行動態を比較検討する。【結果】Fontan後経過観察期間1-17(中央値8)年。全例が心外導管によるTCPCであり、2例(B群)が一期的Fontan手術。術後在院死亡は無く遠隔死亡は2例(B群)。A群HLHSの1例で術後PLEを発症したが内科的治療で軽快した。Fontan術前:PAI 158±29 vs 295±92mm2/m2 (p<0.001)以外はCVP、CI、EF、EDP、EDV、SaO2、Rpなどの心臓カテーテル検査結果に有意差なし。Fontan術後1年:PAI 177±57 vs 246±88mm2/m2 (p=0.002)、EF 52.1±11.0 vs 58.1±10.7% (p=0.030)の他は上記パラメーターに有意差なし。Fontan術後5年:CVP 11.5±1.9 vs 9.8±1.6mmHg(p=0.003)、EF 53.5±9.6 vs 59.2±7.2% (p=0.031)、EDP 9.6±3.3 vs 7.6±2.7mmHg(p=0.037)に有意差を認めたが、PAI 175±36 vs 205±59 mm2/m2 (p=0.080)をはじめ他のパラメーターに有意差なし。Fontan術後10年:CVP 12.0±2.4 vs 9.6±1.8mmHg(p=0.022)高値を認めたが、PAI 165±61 vs 164±40mm2/m2 (p=0.945)をはじめ他の血行動態パラメーターに有意差なし。 【結語】狭小肺動脈例でも術後遠隔成績は良好であり、術後5年以降では二群間に肺動脈径も差を認めなくなったが、遠隔期にCVPは高値でありPLEも認めたことから今後も慎重なフォローが必要である。