講演情報
[II-OR17-04]Central shunt手術におけるshunt吻合位置及び直径が心血管内の血行動態に及ぼす影響に関する研究
○倉岡 莉蘭1,2, 藤村 宗一郎2,3, 金林 春希1,2, 星野 耕平1,2, 渡瀬 優紀1,2, 鈴木 憲治4, 佐々木 孝4, 石井 庸介4, 山本 誠3 (1.東京理科大学大学院 工学研究科 機械工学専攻, 2.東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 先端医療情報技術研究部, 3.東京理科大学 工学部 機械工学科, 4.日本医科大学 心臓血管外科)
キーワード:
ファロー四徴症、Central shunt手術、数値流体力学解析
【背景】近年数値流体力学を用いたチアノーゼ性心疾患に対するshunt手術の血流動態解析が行われているが,Central shunt手術(CS)における解析報告は少ない.本研究では,CSにおける吻合位置及び人工血管径が左右肺動脈血流等の血流動態に与える影響の解明を目的とし,CSが施行された症例をもとに解析を行った.【方法】症例はファロー四徴症,生後2ヶ月でCS (人工血管径3.5mm)を施行した.術後7ヶ月のカテーテル検査で平均主肺動脈圧19(mmHg),右18,左19であった.末梢肺動脈径は右肺動脈術前5.4mm(73%N) →術後7カ月10.2(115.2),左肺動脈6.0(88.1) →12.6(156.2)でありCS術後9ヶ月で根治術(末梢肺動脈形成は不必要)に到達した.術後8カ月の造影CT画像を基に,心血管及びshuntの三次元形状(平均直径4mm)を再構成し,人工血管径を3.5,4.5mmに変更したshunt仮想形状を作成した.上行大動脈側の実際の吻合位置を基準(位置0mm)として,上行大動脈表面に沿って血管軸方向に+5mmから-5mmまで1mm間隔で移動させた.吻合位置及び直径を変えた全33通りの解析モデルに対して,心臓カテーテル及び超音波検査の実測値を用いて,CFD解析を実施した.shunt流出面における平均流速Vs_out [m/s] ,及び左右肺動脈の流量比(FRR:Flow Rate Ratio)を算出した.【結果及び考察】FRRは直径4.5mm,吻合位置-4mmの場合で最大値2.3を,直径3.5mm,吻合位置+2mmで最小値1.7となった.FRRが1に近い場合に左右肺動脈の均等な成長が期待され,本症例では直径3.5mmの吻合位置+2mmが最適であった可能性がある.また,全解析結果においてFRRは1.7~2.3,Vs_outは1.9~2.8 m/sの値をとり,FRRとVs_outの間に負の相関関係(r = -0.75)が認められた.【結語】本症例では直径3.5mm,吻合位置+2mmの場合に,最も左右肺動脈の均等な成長が期待される.またFRRを1に近づけるには,shunt流出面の流速が大きくなる吻合位置及び直径が適切であると示唆された.