講演情報

[II-OR18-01]2 kg未満の低体重児に対する肺動脈絞扼術の転帰

堀江 咲良1, 鹿田 文昭1, 岡 徳彦3, 岡村 達4, 金子 政弘3, 近藤 良一2, 辻 重人1, 森山 禎之1, 畑岡 努4, 宮地 鑑2, 小野 稔1 (1.東京大学医学部附属病院 心臓外科, 2.北里大学医学部 心臓血管外科, 3.自治医科大学とちぎこども医療センター 心臓血管外科, 4.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)
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キーワード:

先天性心疾患、肺動脈絞扼術、肺血流

背景低出生体重の先天性心疾患患児において、薬物療法が不十分な場合は体外循環を使用しない姑息手術が選択されることが多い。しかし、2 kg未満の低体重児に対する主肺動脈絞扼術の適応や標準化は確立されていない。本研究では、2 kg未満で主肺動脈絞扼術を施行された症例を後方視的に検討し、絞扼の程度、術後経過、および転帰を評価した。方法2004年1月から2024年12月までの間に4施設で施行された肺動脈絞扼術症例を後方視的に解析した。2心室修復可能な先天性心疾患を有し、2 kg未満で主肺動脈絞扼術を施行された21例を対象とした。手術時体重、絞扼径、遺伝学的背景、術後血行動態、心内修復術達成率、合併症、死亡率を評価し、連続変数は中央値+IQRで表記した。結果肺動脈絞扼術時の体重および年齢の中央値は1.6 kg(0.9-1.8)、33日(27-85)であった。遺伝子異常を有する患者は13例(61%)であり、21トリソミーが9例(42%)、18トリソミーが2例(9.5%)であった。絞扼径(Trusler式=BW+x)の中央値は18.0 mm(18-19)であった。肺動脈絞扼術による肺動脈狭窄を認め、修復を要した症例は11例(52.4%)であった。心内修復術達成率は81.0%(17/21)であり、手術時の体重中央値は5.8 kg(4.5-6.7)であった。残る4例は心内修復術待機中であった。心内修復術前の死亡は認められず、心内修復術後に4例(19.0%)が死亡したが、主な原因は感染症および消化管機能不全であり、心疾患関連死亡は低率(4.7%)であった。結論2 kg未満の乳児に対する肺動脈絞扼術は、遺伝子異常を有する症例を含め、高い心内修復術達成率と十分な成長促進を示した。