講演情報
[II-OR18-03]心臓MRIでの左心低形成症候群Fontan術後における右室局所ストレインと線維化の関連
○白水 優光, 倉岡 彩子, 佐藤 正規, 連 翔太, 鈴木 彩代, 村岡 衛, 田尾 克生, 石川 友一, 永田 弾, 佐川 浩一 (福岡市立こども病院 循環器科)
キーワード:
左心低形成症候群、心臓MRI、ストレイン
【背景】左心低形成症候群(HLHS)において、経年的に右室(RV)機能が低下する。また、残存左室(LV)と関連する中隔側の壁運動低下が報告される。【目的】HLHSにおけるRV中隔側の壁運動低下の機序を明らかにする。【方法】当院において2021~2024年にFontan手術(F術)6ヶ後に定期評価で心臓MRI(CMR)を行ったHLHS症例。CMRでのRV拡張末期容積(RVEDV)、対正常比(%N)、RV収縮率(RVEF)や血行動態指標に加え、RV四腔像において自由壁(F)、心尖部(A)、後壁または中隔(S)のlongitudinal strain(LS)を計測した。また、短軸像におけるF、Sの心筋T1値を計測した。同時期に行った心臓カテーテル検査結果も含め解析を行った。【結果】症例は19例(MA/AA 12例、MS/AA 1例、MS/AS 6例)。全例が心外導管によるF術を行われ開窓例はなかった。各種中央値(四分位範囲)は年齢3.3歳(2.8-4.9)、体重12.6kg(11.6-13.4)、BNP 17.5pg/mL(8.4-27.2)、平均中心静脈圧10mmHg(9-10)であった。CMRではRVEDV 85.7mL/m2(66.6-95.6)、124%N(100-133)、RVEF 45%(41-48)、心係数(CO) 2.4L/min/m2(2.1-2.5)、三尖弁逆流率 7%(4-13)、大動脈弁逆流率 4%(3-7)、GLS -14.0%(-15.4--12.3)であった。LSはF/A/Sの順に-16.5(-19.2--13.7)、-19.3(-23.1--15.4)、-12.7(-15.0--6.7)であり、SはF、Aに比し有意に低下していた(p<0.05)。T1値はF/Sの順に1020(-1.2SD)(1010-1043)、1110(+1.5SD)(1055-1150)であり、中隔側が高値であった(p<0.01)。単変量解析で中隔LSとGLSは正相関が見られた(p=0.01, r=0.55)。中隔T1(SD)と中隔LSやGLSとの有意な相関はなかったが、中隔T1(SD)上昇に伴うRV拡大が見られた(p<0.01, r=0.61)。中隔T1やLSとLVサイズとの有意な相関はなかった。【考察】RV中隔側の局所的な壁運動低下が示唆され、原因として線維化が考えられる。【結論】HLHSにおいて、RV中隔側の線維化に伴う局所的に壁運動低下があり、右室機能評価の一助となる可能性がある。