講演情報
[II-OR19-06]多施設共同登録研究JACPHRから見た22q11.2欠失症候群における先天性心疾患を伴う肺高血圧症の特徴
○内田 敬子1,2, 住友 直文2, 福島 裕之3, 石井 卓4, 細川 奨4,5, 石田 秀和6, 高月 晋一7, 小垣 滋豊8, 稲井 慶9, 土井 庄三郎4, 山岸 敬幸2,10 (1.東京医科大学 細胞生理学分野, 2.慶應義塾大学医学部小児科, 3.東京歯科大学市川総合病院小児科, 4.東京科学大学小児科, 5.武蔵野赤十字病院小児科, 6.大阪大学大学院医学系研究科小児科学, 7.東邦大学医療センター大森病院小児科, 8.大阪急性期・総合医療センター小児科・新生児科, 9.東京女子医科大学循環器小児科・成人先天性心疾患科, 10.東京都立小児総合医療センター)
キーワード:
肺高血圧症、レジストリ―研究、22q11.2欠失症候群
【背景】22q11.2欠失症候群(22qDS)は出生4,000~5,000人に1人認められ、染色体微細欠失症候群の中で最も頻度が高い。8割に先天性心疾患を合併し特に心臓流出路から大血管の異常が最も多いため、肺血流異常をきたしやすく肺高血圧症の合併も認められるが、22qDSにおける先天性心疾患を伴う肺高血圧症(CHD-PH)の詳細は不明である。【方法】2024年12月末までに先天性心疾患を伴う肺高血圧症(PH)多施設症例登録研究(JACPHR)の登録症例のうち、22qDS症例と染色体異常を含む背景疾患を伴わない症例(none)とを比較検討した。【結果】全447例のうち、22qDS群は31例、none群は254例であった。CHD-PH臨床分類の内訳は、none群では、単心室型心疾患に伴うPHが最も多く99例(39%)、ついで修復術後PH50例(20%)、左心系心疾患に伴うPH、左右シャントでは説明できないPH、区域性PHがそれぞれ21~23例(8~9%)であった。一方で、22qDS群では、区域性PHが22例(71%)と圧倒的に多く、ついで修復術後PHが7例(23%)であった。基礎となる先天性心疾患は21例(68%)が心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖の主要体肺側副動脈合併例であった。両群に年齢・性別・治療内容に有意な差はなかったが、JACPHR登録時の平均肺動脈圧(mPAP)は有意に22qDS群で高く(p = 0.0031)、肺血管抵抗係数(PVRI)は有意差はないものの22qDS群で高い傾向にあった。さらに、none群では診断時と登録時でmPAP、PVRIともに有意に低下したが(p < 0.0001, p = 0.0014)、22qDS群ではいずれも変化はなく、PHの治療抵抗性が疑われた。【結論】22qDSに伴うCHD-PHは区域性PHが多いという特徴があり、染色体異常等を伴わない症例と比較して治療効果が限定的な可能性がある。