講演情報
[II-OR20-05]幼児期に総肺静脈還流異常術後の肺静脈狭窄に対してハイブリッドでステント留置術を行った2例の経過
○大城 佑貴1, 藤野 光洋1, 桝野 浩彰1, 中村 香絵1, 佐々木 赳1, 川崎 有希1, 鈴木 嗣敏1, 小澤 秀登2, 鍵崎 康司2, 江原 英治1, 杉山 央1 (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器・不整脈内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科)
キーワード:
総肺静脈還流異常症、肺静脈狭窄、ステント留置術
【背景】総肺静脈還流異常(TAPVC)術後に肺静脈狭窄を繰り返し, ステント留置が必要な例を経験する. 肺静脈狭窄に対しては大口径ステント留置での再狭窄率低下が報告されているが, 幼児は小口径ステントしか留置できない場合も多い. 今回術後肺静脈狭窄に対して幼児期にステント留置した2例を報告する. 【症例1】4歳 女児. 日齢11でTAPVC(supracardiac)と診断, 日齢17に修復術を施行. その後7か月に右肺静脈狭窄, 1歳1か月に左肺静脈狭窄を認め, 外科的解除を行ったが, 1歳3か月時に左肺静脈狭窄が再燃. 左下肺静脈は末梢側からの高度狭窄(最狭部0.7mm)のため外科的解除は困難で, ハイブリッドでステント留置術(GENESISTM 5×12mm)を施行. その後, 左下肺静脈は拡張したが, ステント内狭窄による肺うっ血症状を来すため, 3-5か月間隔でのPTAが必要だった. 3歳時にハイブリッドで大口径ステント (Omnilink EliteTM 9×19mm)に入れ替えを施行.術後半年のカテーテル検査で軽度ステント内狭窄あり, 10mm径バルーンで再拡張を施行した.【症例2】2歳 男児. 日齢4 にTAPVC(cardiac)と診断, 日齢15に修復術を施行. 以降徐々に左房入口部の狭窄が進行し, 8か月時に隔壁切除術を施行したが, 両側肺静脈狭窄が進行. その後, 左上肺静脈は完全閉塞, 左下肺静脈も末梢側から高度狭窄(最狭部1.8mm)し外科的介入は困難で, 1歳4か月時に左下肺静脈にハイブリッドでステント留置術(GENESISTM 5×15mm)と右肺静脈狭窄解除術を施行. 以降はステント内狭窄に対して3-5か月毎のPTAを施行しているが, 将来的に大口径ステントに入れ替え予定.【結語】今回の2例はいずれも術後高度肺静脈狭窄だったがステント留置で狭窄を解除できた. しかし, 初回治療時は小口径ステントのため留置後再狭窄が必発で, 大口径ステントに入れ替え後も比較的早期にステント内狭窄を認めた.術後の経過と文献的考察含めて報告する.