講演情報
[II-OR24-01]Swing-back法を用いた大動脈弓再建症例の成績
○松田 健作, 原田 雄章, 永瀬 晴啓, 鳥羽 修平, 鹿子島 成充, 中野 俊秀 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)
キーワード:
Swing-back、大動脈弓再建、Chimney法
【背景と目的】CoA/IAAを伴う動脈スイッチ手術やNorwood手術、Yasui手術において、上行大動脈と下行大動脈間距離が長い症例における大動脈弓再建には工夫を要する。また、肺動脈や気管支の狭窄予防のためにaortopulmonary space (AP space)を十分にとることも重要である。Swing-back法の報告は少なく、当院の成績を報告する。【対象と方法】2010年1月から2023年12月までに、当院で大動脈弓再建にSwing-back法を用いた21例を対象とした。YasuiまたはNorwood手術の症例(19例)では16例でchimney法に準じて新大動脈の再建を併施した。フォローアップ期間は3.6(0-14)年で、手術時月齢6.8(0.4-14)、体重4.9(2.4-8.6)kgであった。主診断はHLHS(variantを含む)が9例(43%)、TA(2c)が2例(10%)、DILVが2例(10%)、VSD+ASが6例(29%)、TruncusとTGAがそれぞれ1例で、大動脈形態はCoAが10例、IAAが11例であった。9例でパッチによる補填を施行した。両側肺動脈絞扼術を20例、PDAステント留置を12例で先行した。【結果】手術死亡を1例、遠隔死亡を2例に認めた。手術死亡の原因は脳出血、遠隔死亡の原因は心不全1例、不明1例で、1年、5年、10年の累積生存率は95%、89%、81%であった。術後カテーテル検査で大動脈弓再建部の圧較差は0(0-10) mmHgであった。再手術を 2例に認め、1例はre-CoAに対してパッチ拡大を施行、もう1例はAP spaceが狭いことによるLPASに対して、上行大動脈のextensionを施行した。再手術症例は術後CTで計測したarch angleが有意に小さく(80.0° vs 106.9°, p<.01)、上行大動脈のextensionを施行した症例のAP space areaは小さかった(20.2 mm2 vs 62.0 mm2, p=.05)。10年の再手術回避率は90%であった。【結語】Swing-back法の成績は良好であった。Swing-back法ではPDAステント留置後など、吻合部に距離がある症例においてもtension-freeな吻合が可能となり、有用な術式であると思われた。