講演情報
[II-OR24-02]動脈管ステント留置が大動脈弓再建に及ぼす影響と術式の工夫
○宇多 佑介1, 金谷 知潤1, 谷本 和紀1, 手繰 優太1, 青木 寿明2, 石井 陽一郎2, 浅田 大2, 松尾 久実代2, 森 雅啓2, 津村 早苗1 (1.大阪母子医療センター 心臓血管外科, 2.大阪母子医療センター 循環器科)
キーワード:
大動脈弓再建、動脈管、動脈管ステント
【背景】
左心低形成症候群(HLHS)や大動脈縮窄(CoA)、大動脈弓離断(IAA)などにおいて、動脈管(PDA)ステントはPDA維持に有用な手段の一つである。しかし、PDAステントが大動脈弓や下行大動脈にまたがることで、大動脈弓再建が困難となり、再狭窄(re-CoA)や左気管支狭窄を引き起こす可能性がある。
【目的】
PDAステント留置が大動脈弓再建に与える影響と術式の工夫を検討すること。
【方法】
対象は2009年8月~2025年1月に当院でPDAステント留置後に大動脈弓再建を行った 13例。内訳はIAA 7、CoA 3、HLHS 2、先天性大動脈弁狭窄 1例であった。 PDAステント留置時の年齢中央値は 26(5-71)日、体重 2.6(2.0-3.7)kg、大動脈弓再建時の年齢は 202(25-359)日、体重 5.2(2.6-8.2)kgであった。再建方法は、直接吻合が 4、グルタールアルデヒド(GA)処理自己心膜使用 4、GA処理自己心膜+肺動脈壁パッチ使用 2、Subclavian flap応用 3例であった。大動脈弓再建後の手術死亡、遠隔死亡、再介入率、および気管支狭窄の発生率を評価した。
【結果】
手術死亡はなく、遠隔死亡は 2例(術後67、357日)であった。挿入されたステント長は中央値 17(15-26)mmで、1例では2本のステントが留置された。ステント長 26mmの症例はIAA(type B)に右鎖骨下動脈起始異常を合併しており、左右ともreverse subclavian flapとして大動脈弓再建に利用した。術後 8例(61 %)で再介入を要し、内訳は吻合部バルーン拡張 6(46 %)、外科的re-CoA解除 2例(15 %)であった。また、直接吻合のうち 2例(15 %)は気管支狭窄を認めた。
【結後】
PDAステント留置後の大動脈弓再建では、Subclavian flapや肺動脈壁パッチ使用などの工夫で、ステント留置による切除範囲の拡大に対応できるが、再介入を要する症例も多かった。ステント留置の際には、大動脈弓再建を見据え、外科と内科で留置範囲を十分に協議する必要があると考えられた。
左心低形成症候群(HLHS)や大動脈縮窄(CoA)、大動脈弓離断(IAA)などにおいて、動脈管(PDA)ステントはPDA維持に有用な手段の一つである。しかし、PDAステントが大動脈弓や下行大動脈にまたがることで、大動脈弓再建が困難となり、再狭窄(re-CoA)や左気管支狭窄を引き起こす可能性がある。
【目的】
PDAステント留置が大動脈弓再建に与える影響と術式の工夫を検討すること。
【方法】
対象は2009年8月~2025年1月に当院でPDAステント留置後に大動脈弓再建を行った 13例。内訳はIAA 7、CoA 3、HLHS 2、先天性大動脈弁狭窄 1例であった。 PDAステント留置時の年齢中央値は 26(5-71)日、体重 2.6(2.0-3.7)kg、大動脈弓再建時の年齢は 202(25-359)日、体重 5.2(2.6-8.2)kgであった。再建方法は、直接吻合が 4、グルタールアルデヒド(GA)処理自己心膜使用 4、GA処理自己心膜+肺動脈壁パッチ使用 2、Subclavian flap応用 3例であった。大動脈弓再建後の手術死亡、遠隔死亡、再介入率、および気管支狭窄の発生率を評価した。
【結果】
手術死亡はなく、遠隔死亡は 2例(術後67、357日)であった。挿入されたステント長は中央値 17(15-26)mmで、1例では2本のステントが留置された。ステント長 26mmの症例はIAA(type B)に右鎖骨下動脈起始異常を合併しており、左右ともreverse subclavian flapとして大動脈弓再建に利用した。術後 8例(61 %)で再介入を要し、内訳は吻合部バルーン拡張 6(46 %)、外科的re-CoA解除 2例(15 %)であった。また、直接吻合のうち 2例(15 %)は気管支狭窄を認めた。
【結後】
PDAステント留置後の大動脈弓再建では、Subclavian flapや肺動脈壁パッチ使用などの工夫で、ステント留置による切除範囲の拡大に対応できるが、再介入を要する症例も多かった。ステント留置の際には、大動脈弓再建を見据え、外科と内科で留置範囲を十分に協議する必要があると考えられた。