講演情報

[II-OR24-03]胎児心エコー検査で血管輪を指摘された児の画像検査時期の検討

奥主 健太郎1, 葉 ゆり1, 國松 将也1, 江畑 亮太2, 濱田 洋通1 (1.千葉大学 医学部 小児科, 2.千葉市立海浜病院 小児科)
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キーワード:

血管輪、重複大動脈弓、胎児心エコー

【背景】血管輪や重複大動脈弓、右大動脈弓などの大血管異常は胎児心エコースクリーニングのthree vessel trachea viewによって比較的容易に診断ができるようになった。血管輪の治療は外科的な切除による血管輪解除が一般的であるが、その至適時期に関しては輪状になった大血管が食道や気管の狭窄を引き起こした場合早期に介入すべきとされているのみで、外来通院をどの程度続ければよいのか、簡易的・非侵襲的な検査で判断するのは困難である。【対象】2011から24年の13年間に当院産婦人科で胎児期に血管輪または重複大動脈弓を指摘された26例の血管タイプ、検査内容、症状、治療介入を診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】右大動脈弓+左鎖骨下動脈起始異常(Stewart-Edwards分類3B)の組み合わせが20例、重複大動脈弓の一側弓開存(Stewart-Edwards分類1B)が3例で多かった。9症例で造影CTないしMRI、食道造影が施行され検査時期は2歳前後が最も多かった。生後2日から気道狭窄症状が強かった症例は3Bで外科的介入が必要であった。生後6か月で気道感染症を契機に気道狭窄症状が顕著になった症例は1Bで外科的介入が必要であった。喘息を契機に13歳で造影CTを行った症例には気管狭窄は認めなかった。【考察と結語】血管輪を指摘された症例のうち92%は無症状で経過しており、介入した2例の症状出現時期はいずれも乳児期であった。造影CTや鎮静薬を用いてのMRI検査をルーチンに行うメリットは少ない。現在は乳児期の通院で十分に患者教育を行ったうえで気道や食道狭窄の症状出現時にのみ来院・精査する方針としている。