講演情報
[II-OR24-04]重複大動脈弓の臨床的特徴に関する検討
○生野 実紅1, 連 翔太1, 川口 直樹1, 村岡 衛1, 鈴木 彩代1, 白水 優光1, 佐藤 正規1, 倉岡 彩子1, 永田 弾1, 漢 伸彦2, 佐川 浩一1 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 胎児循環器科)
キーワード:
重複大動脈弓、血管輪、気管狭窄
【背景】重複大動脈弓(Double Aortic Arch:DAA)は外科的解除術を必要とすることも多い疾患であるが、無症状例から介入後も気道症状が残存する症例まで幅広い重症度を有する。重症度の予測について検討した報告は少なく、本研究ではDAAの臨床的・形態的特徴から術後に症状が残存するリスクを明らかにすることを目的とした。 【方法】2013年1月~2024年12月に当院でDAAとして診療した14例のうち、造影CTを撮影した11例(女児4例)について、術後に気道症状が残存した症例を重症群、手術不要あるいは術後に気道症状が消失した症例を軽症群として後方視的に臨床経過・形態的特徴について比較検討した。【結果】重症群4例 (気管切開、気管外ステント留置、在宅酸素療法、喘鳴遷延:各1例)、軽症群7例であった。診断時に気道症状があったのは8例(重症群4例、軽症群4例)であった。全対象のうち7例(重症群4例、軽症群3例)に手術を行い、手術時月齢5ヶ月(2か月 vs 5か月)、体重4.8kgで気管への同時介入はなかった。胎児診断6例(重症群1例、軽症群5例)、心内奇形合併5例(重症群2例、軽症群3例)、奇形症候群1例(重症群1例)が含まれていた。造影CTでの気管狭窄率(気管最狭部径/非狭窄部径)は前後径で0.57 vs 0.45, p=0.3(重症群 vs 軽症群)、横径で0.55 vs 0.23, p=0.03、気管狭窄部の左右大動脈弓間距離5.8mm vs 9.0mm, p=0.08と重症群で横からの圧排が強い所見であった。気管分岐部から最狭窄部までの距離は15.8mm vs 10.4mm, p=0.07であった。 【考察】術後に症状が残存した重症群では、診断前から気道症状を認める症例が多く含まれていた。形態評価として、気管横径の狭窄率が高く、高い位置で左右の大動脈から圧迫される形態では、術後の気道管理により注意すべき必要性が示唆される。