講演情報
[II-OR25-02]体重10kg未満の経皮的心房中隔欠損閉鎖術の有効性と児の成長に与える影響
○鍵山 慶之1, 山川 祐輝1, 清松 光貴1, 財満 康之2, 高瀬 隆太1, 寺町 陽三1, 庄嶋 賢弘2, 須田 憲治1 (1.久留米大学 医学部 小児科, 2.久留米大学 医学部 外科学講座 心臓血管外科)
キーワード:
心房中隔欠損症、カテーテル治療、低体重児の治療
【背景】生後早期より体重増加不良、肺高血圧などを呈し治療を要する心房中隔欠損症の児では従来は外科的閉鎖術が選択されてきたが、近年当院では経皮的心房中隔欠損閉鎖術(TCASD)を選択している【目的】体重10kg未満でTCASDを要した症例の背景と治療後経過について調査する【方法】過去に当院でTCASDを試みた体重10kg以下の17症例の後方視的検討を行った【結果】男女比5:12、中央値で月齢19(9~34)、体重8.7kg(7.1~9.7)、身長75cm(70~85)、欠損孔 12.8mm(6.9~21.0)、心房中隔長 31mm(27.3~37.2)、Qp/Qs 2.3(1.6~3.3)、平均肺動脈圧 22 mmHg(16~39)であった。併存疾患は低出生体重を7例、左上大静脈遺残を4例、Down症候群を3例、Kabuki症候群を1例に認め、治療適応は全例で右心系拡大および肺体血流比の上昇を有し、-2SD未満の体重増加不良を8例、肺高血圧合併を5例、経時的な欠損孔拡大を4例に認めていた(重複あり)。また、他院で外科手術を提示後に家族のTCASD希望のため紹介された症例が3例存在した。デバイスが大動脈を圧迫し断念した1例を除き16例(94%)で治療成功し、留置回数中央値は1回(1~5)、デバイス径中央値は15mm(8~18)、デバイス径と欠損孔径の差は中央値1mm(-3~7.3)で、大欠損の場合でも原則的に左房ディスク径が四腔断面での心房中隔長を超えないサイズのデバイスを選択した。周術期の合併症として、治療中のIVC spasmとsheath entrapment(1例)、抗菌薬投与で改善した末梢静脈刺入部感染からの菌血症(1例)、輸血を必要としない血小板減少(2例)を認めた。中央値14.5か月(0~83)のフォローアップ期間中には合併症を認めなかった。体重増加に関して、治療前のSD中央値 -1.8SDから治療後6か月時点で -1.3SDと有意差を持って正常に近づいていた。【考察】10kg未満の小児に対するTCASDは、年長児と同様に安全に行える。早期の治療介入は発育のcatch upにつながる。