講演情報
[II-OR26-01]当院における過去10年間の胎児徐脈性不整脈の検討
○寺町 陽三1, 前野 泰樹2, 大津 生利衣1, 山川 祐輝1, 清松 光貴1, 鍵山 慶之1, 高瀬 隆太1, 須田 憲治1 (1.久留米大学 医学部 小児科学講座, 2.聖マリア病院 新生児科)
キーワード:
胎児、徐脈性不整脈、心臓超音波
【背景】胎児徐脈性不整脈は比較的稀な疾患であるが、胎児死亡や新生児期早期の治療介入が必要な症例が含まれている。【目的】当院における胎児徐脈と診断された胎児・新生児の臨床像を明らかにする。【方法】2015年1月から2024年12月の10年間で当院に受診した妊婦で胎児心拍数100bpm未満が持続する9症例を対象とした。そのうち胎児の診断名、診断時の在胎週数、心室心拍数、胎児・新生児期の転帰を調査した。【結果】抗SSA抗体に関連したComplete atrial ventricular block (CAVB)が4例、持続性のblocked PAC bigeminyが3例、Left atrium isomerism(LAI)に伴う洞性徐脈が1例、遺伝性不整脈(KCNQ1-V241F)に伴うと思われる洞性徐脈が1例であった。診断時の胎児平均週在胎数は22.5週、CAVB4例の心室心拍は平均54bpmであり、生後2日以内に3例は体外式の一時的PMI挿入術が実施された。1例は生後8か月時にPMI挿入となった。2:1房室伝導していた持続性のblocked PAC bigeminyの心室心拍は平均73bpmで、すべて胎児期経過観察中にSinus rhythmに改善した。LAI症例でのみ心内構造異常(AVSD, DORV, severe AS, CoA)があり、胸水も認めた。心室心拍は80bpm、Wenckebach型の2度AV blockを認め、在胎27週にIUFDとなった。遺伝性不整脈(KCNQ1-V241F)関連の洞性徐脈は、心室心拍 74bpmで母、叔父が同様に胎児期の徐脈を認めていた。ともに成人期に心房細動に対してRadiofrequency catheter ablation治療歴あり、遺伝子診断をうけている。本児の出生後は心拍60-80bpmの洞性徐脈で、心房期外収縮が散発し現在外来経過観察中で遺伝子検査も検討中である。【結語】胎児徐脈性不整脈は転帰が異なる様々な疾患が含まれることから胎児期の適切な診断と経過観察が重要となる。