講演情報

[II-OR26-06]動脈管閉鎖を合併した胎児ファロー四徴/両大血管右室起始症例の出生後経過の検討

林 賢, 海陸 美織, 西野 遥, 加藤 周, 長野 広樹, 森 雅啓, 松尾 久実代, 浅田 大, 石井 陽一郎, 青木 寿明 (大阪府立母子医療センター 循環器科)
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キーワード:

胎児心エコー、ファロー四徴症、動脈管閉鎖

【背景】ファロー四徴/肺動脈狭窄型の両大血管右室起始症例(TOF/DORV)の中には胎児期に動脈管が閉鎖している症例がある。動脈管が閉鎖していると出生後の右室流出路狭窄による低肺血流に対し、動脈管を開存させる治療ができず早期介入を要する。今回、胎児期に動脈管閉鎖を確認したTOF/DORV症例の中長期経過にについて検討した。【目的】胎児期にTOF/DORVと動脈管閉鎖の合併と診断された症例の胎児心エコー所見および出生後の経過を明らかにする。【方法】2021年1月から2024年12月までに当院で胎児期にTOF/DORVと診断された21症例について、胎児期に動脈管が閉鎖していた症例(ADA群)と開存症例(PDA群)とで胎児心エコーの所見、出生後の初回入院から心内修復術までの右室流出路狭窄に対する介入を含めた臨床経過を後方視的に検討した。【結果】対象となった21症例中ファロー四徴症は14症例、両大血管右室起始症ファロー四徴症型は7症例で、ADA群は8症例であった。胎児心エコー所見では、ADA群vs PDA群で、肺動脈弁(z score)は-3.1±1.2 vs -1.4±1.7; p=0.03、肺動脈弁輪径/大動脈弁輪径比は0.66±0.10 vs 0.73±0.10; p=0.16、主肺動脈径/大動脈径比は0.66±0.09 vs 0.70±0.11; p=0.43で肺動脈弁のz scoreのみ有意差がみられた。初回入院時の右室流出路への介入はADA群4/8症例に対しPDA群2/13例(p=0.09)、心内修復術に至った症例で弁輪温存ができたものはADA群4/6例、PDA群8/10例(p=0.58)であった。【考察】胎児期に動脈管閉鎖に至る症例は右室流出路の狭窄が中等度で肺動脈弁を通過する順行性血流と動脈管を逆行する血流が競合するため閉鎖に至るとする機序が考えられており、右室流出路狭窄が高度で出生直後に介入を要した症例は検討期間内では認めなかった。【結論】胎児期に動脈管閉鎖を認めたTOF/DORV症例は右室流出路狭窄が強く、初回入院時に低酸素に対する介入を要する傾向がある。