講演情報

[II-OR27-03]当院における小児心臓移植患者へのトランジション支援の取り組み

土屋 美代子1, 小高 知里1, 野本 美智留2, 戸田 紘一3, 帆足 孝也4, 中埜 信太郎2, 鈴木 孝明4 (1.埼玉医科大学国際医療センター/重症心不全・心臓移植センター, 2.埼玉医科大学国際医療センター/心臓内科, 3.埼玉医科大学国際医療センター/小児心臓科, 4.埼玉医科大学国際医療センター/小児心臓外科)
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キーワード:

トランジション支援、小児心臓移植、移植コーディネーター

【はじめに】小児心臓移植患者の小児期から成人期へのトランジションは単なる成人期への移行ではなく、自己の疾患を理解し自立して生涯にわたり自己管理を継続していくために必要不可欠なステップである。レシピエント移植コーディネーター(以下RTC)は移植待機中から移植後遠隔期にわたり関わりを持っている。これまでの関わりを通して、トランジション支援を行った症例に焦点を絞り当院での取り組みを報告する。【対象】対象は2003年4月から2025年1月末までにRTC が対応した28名中、心臓移植後患者14名。初診時年齢は生後2ヶ月から15歳。男児9名女児19名。原疾患は拡張型心筋症15名、拘束型心筋症1名、左室緻密化障害2名、心筋炎後心筋症2名、川崎病後遺症による虚血性心筋症1名、先天性心疾患 6名、薬剤性心筋症1名。うち、心臓移植後患者は14名(待機中からの関わり11名、移植後からの関わり3名)で実際にトランジション支援を行った症例は4例トランジション未支援の10例は、学童・幼児が6例、他施設でフォロー中が4例【結果】中学校入学頃より自立にむけた自己管理・自己決定支援、性教育、ヘルスリテラシーの獲得支援などの支援を開始し、高校入学または高校卒業のタイミングでスムーズに成人診療科への移行が出来た。【考察】移植待機中から移植後遠隔期にわたり関わり持つRTCがトランジション支援を行うことで、患者や家族は戸惑いなく成人診療科へ移ることが出来たのではないかと考える。患者や家族の特性を把握したうえで、どの時期にトランジション支援を開始するか見極めることは重要であるが、生活習慣や精神面などが乱れやすくなる思春期に開始したことは有効だったと考える。【まとめ】今後、多職種で連携してトランジション支援を行っていけるよう支援体制を構築していきたい。