講演情報
[II-OR27-04]ACHD女性の将来の妊娠・出産への思い
○小出 沙由紀1, 薬師神 裕子2, 檜垣 高史3, 赤澤 祐介4 (1.愛媛大学医学部附属病院 看護部, 2.愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻 基盤・実践看護学講座 小児発達看護学, 3.愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座, 4.愛媛大学大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学)
キーワード:
成人先天性心疾患、プレコンセプションケア、移行支援
【背景】ACHD女性は、CHDを抱えながら月経、恋愛、結婚、妊娠、出産等、自らの女性性と向き合う必要がある。そのためCHDに特化したプレコンセプションケアが必要である。【目的】ACHD女性の将来の妊娠や出産、女性としての生き方についての思いを把握し、今後のプレコンセプションケアへの示唆を得る。【方法】調査期間:2023年7月-11月。対象:CHDを持つ16歳(高校生以上)-33歳の出産経験のない女性79名(ただし既婚・未婚,妊娠希望の有無や,妊娠の可否は問わない)。調査方法:心疾患に関連した将来の妊娠・出産、女性としての生き方等への思いについて、自記式調査を行った。分析方法:自由記述の内容を類似性に基づき質的記述的分析を行い、コード、サブカテゴリー、カテゴリーを抽出した。【結果】28名のデータが得られた。分析の結果、49コード、36サブカテゴリー、10カテゴリーの【遺伝の不安】【就業・就労継続への不安】【手術痕への否定的な思い】【妊娠・出産への希望と不安】【病気や妊娠・出産についてパートナーから理解を得ること】【安全な出産のための心疾患の理解】【ピルの禁忌・内服による影響】【妊娠・出産の年齢制限に対する焦りや不安】【子育ての不安】【妊娠・出産が困難であることへの思い】が抽出された。また、最頻出単語は「不安」であった。【考察】ACHD女性は、疾患があるが故の様々な妊娠・出産への不安を持っていることが明らかになった。妊娠・出産以前の恋愛・結婚でのパートナーとの障壁やその先の子育ての不安、すでに妊娠・出産が困難であることを告げられている重症CHD女性の心情が示された。一方、自己の疾患による妊娠・出産のリスクを理解している様子や、今後の学びへの意欲を感じられる前向きな意見も散見できた。疾患や状況に合わせた正しい情報提供、ACHD女性に寄り添った意思決定支援が必要である。