講演情報
[II-OR27-05]先天性心疾患児の学校生活における問題~生活実態アンケート2023調査結果から~
○大澤 麻美1, 中村 典子1, 杉木 秀行1, 吉田 奈央子1, 春本 加代子1, 下堂前 亨1, 城戸 貴史2, 落合 亮太3, 檜垣 高史4 (1.一般社団法人全国心臓病の子どもを守る会, 2.静岡県立こども病院地域医療連携室, 3.筑波大学医学医療系, 4.愛媛大学大学院医学系研究科地域小児・周産期学講座)
キーワード:
教育、自立、社会保障
【背景】全国心臓病の子どもを守る会は小児期に発症した心疾患の患者と家族の会である。1963年の設立当初は、適切な治療を受けられるような経済的負担や不安の軽減といったことが中心的な課題であった。公的医療保険等の社会制度の整備などが進み、さらには、治療技術が進歩したことにより、重症心疾患の病児の学校教育や就労、経済的自立といった問題が大きくなっている。【目的】心臓病児が安心して学べる教育の課題は何か、社会制度は十分に機能しているのか、2018年の調査と比較をしながら検証を行い明らかにする。【方法】全会員(約3300世帯)を対象にアンケートを実施した。調査では、患者の治療状況、就学先、学校への付き添いの状況、利用している福祉制度、患者の就労状況などを尋ねた。また、困っていること、不安に思っていることを自由記述にて回答を求めた。本調査の分析にあたっては、厚労科研研究班(研究代表者・檜垣高史)からの協力を得て行った。回答数は581件、内訳は0歳~18歳未満276件、18歳~65歳未満305件。さらに18歳未満のうち小学生は104件、中学生は55件、高校生は53件であった。【結果】就学先は通常学級以外に、特別支援学級、特別支援学校等と多岐にわたっている。在宅酸素療法を行っている病児の通学先には看護職員の配置が必要であり、そのことが就学先の選択にも影響している。発達・精神・知的障害等の障害を重複する病児が増えており、心臓病以外への支援も併せて必要とされている。多くの親が学校へ付き添っている状況に大きな変化はない。本人や親の同意にもとづかないで、学校の要望のみで付き添っているケースも多く見受けられた。【考察】重症心疾患患者にとって適切な教育環境の整備は、将来の社会的自立にとって大きな課題である。とりわけ、医療的ケアや、他の疾患・障害への配慮など、求められている支援は多岐にわたっている。