講演情報

[II-OR27-06]青年期発達遅延の患者と家族の終末期における退院支援~多職種で意思決定支援をした症例~

前 華那1, 松田 美香1, 村上 瑞貴2, 松原 一樹2, 岩朝 徹2, 黒嵜 健一2, 重森 明香1, 細川 紗智子1, 石橋 文1 (1.国立循環器病研究センター 看護部, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
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キーワード:

意思決定支援、終末期、発達遅延

【はじめに】昨今在宅医療の発展もあり、終末期医療の在り方は多様化している。しかし、その意思決定支援は容易ではない。特に小児では患者本人からの意思をくみ取ることが難しい上、家族が終末期を受け入れることは容易ではなく、厳しい決断を迫られる。今回は終末期に多職種の支援により退院を実現した症例を報告する。
【倫理的配慮】患児の母に症例研究として学会発表すること、プライバシーに配慮し個人が特定されることのないように留意する旨を口頭で説明し、同意を得た。
【事例】フォンタン手術後PLEのため入退院を繰り返す16歳男児。NHFの装着が必要な呼吸状態で終末期にある。発達遅延あり。
【経過】退院に際して在宅NHFを導入する必要があった。両親の介護負担が大きくなり、状態が悪化していく患児を家で看る精神的苦痛が予想された。
母は退院を希望する一方、急変や患児が精神的に不安定になることに不安を感じていた。また患児が退院を希望しないと考えていた。
患児と家族にとって最期の時間をどのように過ごすのが最善か、多職種でカンファレンスを重ねた。両親への情報提供はその都度医師が行えるよう調整をした。退院支援看護師ともに安心して退院できるように地域の支援や在宅の環境を整えた。
患児の意思を確認するために臨床心理士が介入した。患児は退院を希望したがNHFを装着しての退院は拒否した。看護師が患児に理解できる言葉で、今の状態と退院に必要な医療や環境について説明を行うことにより患児は退院の意思を示し、それを受けて母も退院を決断することができた。
【考察】患児の意思表示は母の意思決定の後押しとなった。医師からの情報提供を適切に行えたことで退院後の不安も明確となった。早い段階から退院支援看護師が入ることで、十分な支援体制が整えられ不安解消につながったと考えた。医療者、患者、家族との調整役として看護師が役割を果たせたと考える。