講演情報

[II-OR28-03]小児心臓移植後患者への移植術前後の生活に関する実態調査(第2報)

天尾 理恵1, 犬塚 亮2, 水野 雄太2, 平田 康隆3, 小野 稔4, 緒方 徹1 (1.東京大学医学部附属病院 リハビリテーション部, 2.東京大学医学部附属病院 小児科, 3.国立成育医療研究センター 心臓血管外科, 4.東京大学医学部附属病院 心臓外科)
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キーワード:

心臓移植、アンケート調査、補助人工心臓

【緒言】心臓移植術を実施した小児患者の移植前後の身体機能、復学状況についての実態調査を実施したので報告する。【対象・方法】2004年3月-2022年2月に当院で心不全治療を受け、国内外で心臓移植術を実施し、術後1年以上経過した学童8名を対象とした。自記式質問紙によるアンケート調査を実施し、移植前の入院生活、移植に対する心境、移植術後の身体機能、復学状況など全19問の調査を行った。【結果】移植時年齢(平均)は11.0歳、アンケート回答時年齢17.3歳、移植後アンケート回答までの経過年数は6.3年であった。対象者の疾患はDCM6名、劇症型心筋炎1名、川崎病後冠動脈瘤・AMI1名であった。移植前、全例補助人工心臓(体外7名)を装着していた。全例が移植術前に歩行のリハビリテーション(リハビリ)を実施していたが、リハビリ以外で病室内を自由に歩くことが可能であったのは4名のみであった。移植術前の不安については2名が非常に不安、4名が多少不安と回答し、入院の長期化、治療、学校関連が主要因であった。術後の体力は、4名が術後1ヶ月、2名が3ヶ月、2名が1年後に元気に動けるようになったと回答した。全例復学を果たしたが、移植術後大変だった点として、半数以上から勉強、動くと疲れる点が挙げられ、その他にも体力がつかない、免疫抑制剤の内服、学校のことが挙げられた。【結語】ほとんどの患者が移植術への不安を抱えていた。学童患者でも理解できるよう、移植前後の流れの説明を行なうことや、移植後も精神面のフォローが継続できることが望ましく、移植前後のシームレスな体制作りが課題である。身体面に関しては、移植術前の体力向上により移植術後3ヶ月までに多くの患者が日常生活に支障のない体力を回復できていた。現行のリハビリを継続し、移植術後の生活・復学に向けた体力向上に努めていくことが重要であることが示唆された。