講演情報
[II-P01-1-01]先天性心疾患術後の鎮静剤使用に関する看護師の価値観
○山口 菜緒, 山本 愛莉, 宮本 ゆうき (医療法人 福井心臓血圧センター 福井循環器病院)
キーワード:
ICU、先天性心疾患、鎮静
【背景】当院は成人・小児の混合ICUである。先天性心疾患の病態によって激しい啼泣や体動が血行動態に影響を及ぼす。そのため、術後の新たな血行動態の安定と、安静維持や疼痛予防のために各種鎮静薬、鎮痛薬を投与することになる。小児重症患者の鎮静状況を評価するState Behavioral Scale(SBS)があるが本田ら、小泉らの先行研究からもスケールでの判断だけでは難しいと述べられている。また、星野の文献からも看護師の主観的な判断は重要であると示されている。そこで、先天性心疾患術後の鎮静剤使用に関して、看護師が主観的な判断をするときにどのような価値観があるのかを明らかにしたいと考えた。【目的】先天性心疾患術後の鎮静剤使用に関して、看護師が主観的な判断をするときにどのような価値観があるのかを明らかにする。【方法】当院ICUリーダー看護師7名に対して、半構成的インタビューを行った。【結果】「ICU病棟・看護師にとって最善の選択」、「子ども中心の最適な判断、最良の選択」、「小児患者の循環呼吸状態の影響を予測し、生命の維持、安全を最優先し追加鎮静を判断」の3つのカテゴリーが抽出された。【考察】看護師は小児患者の生命維持を最優先としていた。早期回復に向けて最善な医療・ケアを提供したいという価値観があった。術後、啼泣や体動などによる酸素消費の増加、心拍数の増加により小児患者に身体的影響を与えたくないという価値観があった。その一方で、看護師は鎮静剤使用による身体的影響や、発達段階について不安に思い、鎮静剤に頼りたくないという価値観もあった。【結論】鎮静剤使用に関して、看護師は生命維持、早期回復を最優先する価値観と成長発達を重視する価値観を持っており、その2つの価値観の葛藤があり、ジレンマを感じていることがわかった。