講演情報
[II-P01-1-03]STの早期介入により経管栄養を回避し得たCardio-facio-cutaneous症候群の1例
○山田 大介1, 佐藤 工2, 佐藤 啓2, 相馬 香奈2 (1.弘前総合医療センター リハビリテーション科, 2.弘前総合医療センター 小児科)
キーワード:
CFC症候群、経口摂取障害、ST介入
【緒言】Cardio-facio-cutaneous症候群(CFC症候群)は,RAS/MAPKシグナル伝達経路の異常で発症し,先天性心疾患や心筋症の合併に加え,乳児期からの難治な哺乳障害により経管栄養の導入を余儀なくされる場合が多い.【症例】現在4歳の女児.在胎39週0日,3508g,産科クリニックで出生.完全母乳栄養で,1か月健診では体重4540gと増加良好.月齢2に予防接種で小児科クリニックを受診した際に心雑音を認め経過観察された.月齢4に体重増加が緩慢のためめ同クリニックから紹介.初診時も完全母乳栄養で,体重5514g.追視や頚定あり.心エコーで軽度の肺動脈弁狭窄と診断.以後,体重増加についてfollowしたが,月齢5で5660g,月齢6で5820gと増加不良であった.離乳食の開始を勧め,母に経管栄養を提案したが,母の強い希望で経管栄養は保留となった.しかし,経口摂取時に「むせ」や「えずき」が多いとの訴えがあり,経口摂取状況の観察目的に入院.母乳分泌自体は良好.耳鼻咽喉科による嚥下内視鏡では嚥下障害なし.STによる詳細な観察で舌の過敏性,味覚や食感の強いこだわりが判明し,以後STの指導を主に,OT,小児栄養分野管理栄養士,耳鼻咽喉科と当科の多職種で介入を継続した.さらに遺伝子検査でBRAF遺伝子のヘテロのミスセンス変異を認めた.4歳の現在経口摂取のみで,未だ立位,独歩不可,かつ身長87.7cm(-2.8SD),体重11.4kg(<3%ile)と成長障害を認めるも,緩徐に成長している。肺動脈弁狭窄の進行や心筋症の発症はない.【結語】医学的には経管栄養の併用が望ましい症例であるが,母の希望を尊重しつつ、4年間多職種で母子を見守った.この一連の介入経緯について,中心となったST担当者と小児循環器医共同で報告したい.