講演情報

[II-P01-1-04]成人の訪問診療医に依頼し、自宅での終末期医療が可能となった13トリソミーの家族支援

狩野 文乃1, 東 浩二2, 石井 徹子2, 矢野 瑞樹2, 角三 明子1 (1.千葉県こども病院 こども・家族支援センター, 2.千葉県こども病院 循環器内科)
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キーワード:

看取り、訪問診療、13トリソミー

【目的】小児の在宅医療は地域によりサービスの提供が少なく、家族の希望に添えないことが多い。今回、小児の在宅医療サービスの手薄な地域でありながらも、成人の在宅医療機関の協力を得て在宅での看取りを経験したため報告する。倫理的配慮 保護者に対して、趣旨を口頭で説明し、同意を得た。【事例紹介】両大血管右室起始症の1歳女児。13トリソミーの診断確定後も家族に自宅での養育の希望があり、在宅呼吸器の導入や動脈管に対するカテーテル治療などを行い、生後5か月で自宅退院。1歳9か月、心不全のため入院。【経過】入院3日目に主治医より終末期であること、病院においても有効な医療がないことを説明。終末期の過ごし方を父、母それぞれと確認しながら多職種でターミナルケアを開始。連日、主治医が両親との話し合いを重ね、入院15日目、自宅での看取りを提案し、翌日の退院が決定。同時にMSWへ看取りを行う訪問診療医導入の依頼があり、時間制限のある中での在宅看取り医療機関を探すこととなった。小児、特に乳幼児を対象とした訪問診療医が不在の地域であったため、成人の訪問診療医に看取りを依頼、翌日の退院時に訪問を設定していただき、自宅退院となる。2回目の訪問診療に合わせて自宅と当院を繋いでのweb会議を設定、家族参加のもと看取りまでの医療体制の考え方を共有することで、家族と訪問診療医の不安軽減に努めた。退院から17日後、父の抱っこで永眠。母が訪問医に連絡し、死亡確認となった。【結論】先天性心疾患をもつ小児の訪問診療は、小児科医への依頼であっても敬遠されがちであり、成人の訪問診療医への依頼は非常に困難な状況である。看取り医療を依頼したことから短期間に訪問診療医が決定し、情報共有の会議などを行うことで家族の望む最後の時間を自宅で過ごすことができたと考える。