講演情報
[II-P01-1-08]重症心不全症例における当院での緩和ケアチームの取り組み
○沼田 寛1, 眞田 和哉1, 佐藤 慶介1, 渋谷 茜1,2, 森 秀洋1, 石垣 瑞彦1, 芳本 潤2, 金 成海1, 満下 紀恵1, 新居 正基1, 田中 靖彦1 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.静岡県立こども病院 不整脈内科)
キーワード:
重症心不全、緩和ケア、終末期医療
【はじめに】「循環器疾患における緩和ケアについての提言」でも言及されている通り,緩和ケアは重症心不全症例に対しても終末期に限定せず提供されるものであり,小児も同様である.当院でも,2024年より緩和ケアチームに循環器科医師が参加し,重症心不全患者の緩和ケアに取り組んでいる.【目的】当院での重症心不全症例に対する,緩和ケアチームの活動と成果,また,今後の課題を検討する.【方法】対象は2024年4月から2025年2月に緩和ケアチームが介入した重症心不全症例の6例で,診療録から後方視的に活動を調査した.【結果】対象症例の診断は,拡張型心筋症3例(うち1例はEXCOR管理),心筋炎1例,無脾症候群の重度房室弁逆流,蘇生後脳症1例,先天性肺静脈閉塞症に伴う重症肺高血圧,右心不全1例であった.転機は2例が入院継続,2例が自宅退院,2例が死亡であった.死亡した2例では主治医と連携し緩和ケアチームの循環器科医師が家族とともにアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に取り組んだ.また,ACPをもとに終末期の呼吸症状に対してモルヒネの持続投与を行った.5例に心理士の介入が行われ,死亡した2例は患者の死後も心理士が家族への介入を継続した.1例はチャイルドライフスペシャリストと保育士が中心となってきょうだい支援を行った.一方で心不全症状評価について医療者毎に認識の差異があることや,終末期患者に関わる医療者の精神的なケアなどの課題が浮き彫りとなった.【考察】従来,当院では緩和ケアチームの介入は主治医の判断により終末期に限定して行われることが多かったが,循環器科医師が緩和ケアチームに加わることで早期介入が可能となった.依然,「緩和ケア=終末期医療」を連想する家族や医療者が少なくないため,緩和ケアチームの早期介入が行えない症例もあり,今後の課題である.