講演情報
[II-P01-2-02]心疾患児における災害対策 ~防災キャンプの経験~
○山本 英一1, 森谷 友造1, 小西 恭子3, 千阪 俊行2, 渡部 竜助2, 前澤 身江子2, 檜垣 高史2 (1.愛媛県立中央病院 小児科, 2.愛媛大学医学部小児科, 3.松山市民病院 小児科)
キーワード:
災害キャンプ、先天性心疾患、自助
【背景】第60回学術集会で「心疾患児における災害対策 ~医療者ができること、患者および家族ができること~」というテーマで発表を行った。災害対策として、自助・共助・公助があり、特に患者及び家族本人の自助として平時からの準備の重要性、共助を受けるために地域の人に自分の存在や病気を知ってもらうことの大切さを報告した。【目的】平時から何をすべきかを患児及び家族で理解してもらう。防災キャンプを通して避難生活を想定し、患者自身が病気や体のことを考えながら災害時に備え、家族と離れて被災した時に自分の命を守れるようになる。【方法】私が理事である小児慢性特定疾病児童等自立支援相談事業を行っている認定NPO法人ラ・ファミリエのスタッフと共に災害訓練、避難所体験を計画し、9月に「こども会議」という名でキャンプ前の勉強会を開催。10月に防災キャンプを開催した。参加者は3名(心疾患患者1名(TGA、Jaten術後))、年齢は13歳3名、14歳1名であった。場所はファミリーハウスあい(前述のNPOの慢性疾患児家族滞在施設)で、1泊2日のプログラムを行った。【結果】内容は、薬剤師による勉強会、段ボールベッドの作成、防災バッグの準備と内容確認、災害グッズの実際の使用体験、夜間の停電対策、2日目の災害食の試食、振り返り発表などであった。【考察】患児たちは、災害を通じたロールプレイを行うことで、想定外のことに気づいた。私たちも、病児であるからこその問題に気づいた。心疾患の患児が少なかったものの、同世代の他の疾患の患児から得られるものも多くあった。振り返りの中で、参加者は、災害のことだけでなく、自身の疾患や薬について、さらなる理解の必要性を感じていた。【結論】災害訓練を通じて、災害に関する知識だけでなく、より実際的な対応の理解が深まった。今後は、患児及びその家族が災害時に備えるための、地域での取り組みを続けていく必要があると感じた。