講演情報

[II-P01-2-03]医師としての新しい視点 ~コーチングを活用した医師のバーンアウト予防とウェルビーイング向上~

川崎 有希, 杉山 央 (大阪市立総合医療センター 小児循環器・不整脈内科)
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キーワード:

コーチング、ウェルビーイング、バーンアウト

【背景】コーチングとは、対話を通じて自己の状況や目標を言語化し、自らの力で解決策を見出すプロセスを指す。特にストレスが多い職種において、自己効力感やモチベーションの向上を助ける手段として注目されている。一方、医師のバーンアウトは、過重労働や精神的負担による燃え尽き症候群であり、患者ケアの質低下や離職率の増加といった深刻な影響を及ぼす。これを防ぐための支援策として、コーチングの有効性が示唆されている。【方法と結果】半年にわたってコーチングセッションを受けた。結果、自身の状況を言語化し、心のブロックに気づくことができた。日本の文化や教育による固定観念、例えば「女性は家庭を優先すべき」という無意識の刷り込みや、インポスター症候群が、自分の希望を曖昧にして押し殺してしまい、自己肯定感の低下に繋がっていたことを理解した。コーチとの対話で、過去の達成を振り返り、小さな成功をリストアップする中で、自信が回復した。本来の望みを言語化し、明確にゴールを設定することで生産性が上昇し、毎日に希望が持てるようになった。【考察】一人の医師がバーンアウトすることで生じる医療現場への影響や経済的損失は甚大である。コーチングがバーンアウトを軽減し、職業的充実度や仕事へのエンゲージメントを向上させる有効な手段であることが報告されている。【結論】コーチングは医師のバーンアウトやキャリア脱落を防ぐとともに、生産性も向上させる可能性があり、医療者のwell-beingにおいて有用な介入手法となりうる。参考文献) SB Kiser, et al. Physician Coaching by Professionally Trained Peers for Burnout and Well-Being: A Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open. 2024;7(4):e245645