講演情報

[II-P01-2-06]医師が捉える先天性心疾患をもつ思春期の患者の病気認知と影響を与えた医師の言動に関する質的研究

松本 宙1, 仁尾 かおり2, 澤田 唯3, 北村 千章4 (1.千里金蘭大学, 2.大阪公立大学, 3.鈴鹿医療科学大学, 4.清泉大学)
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キーワード:

思春期、病気認知、医師

【目的】医師が捉える先天性心疾患をもつ思春期の患者の病気認知とその病気認知に影響を与えた医師の言動や関わりを質的に明らかにする。
【方法】日本小児循環器学会にて専門医の認定を受けている医師を対象に半構造化面接を実施した。主な質問は、「患者の病気について、患者本人に自分から伝えたこと」、「患者本人は、あなたが伝えた病気についての説明をどのように受けとめているか」等6点であった。データは逐語化し、谷津(2015)の方法を参考に質的帰納的に分析した。
【倫理的配慮】所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】研究参加者は男性5名,女性1名であった。分析の結果、医師が捉える患者の病気認知は4カテゴリー[発達段階や個人特性が患者の病気認知と自己管理行動に影響を与える][移行には自立支援と医療機関の連携が求められる][親の理解や関与が病気に対する患者の自立を左右する][患者の社会適応には周囲の理解と支援が不可欠である]が生成された。医師として影響を与えた言動や関わりは5カテゴリー[成長発達や理解度に応じて病気の理解と自己管理を促す][患者の成長や将来を見据えて関わる][親と連携しながら患者の病気認知と自立を支える][患者の希望や生活に配慮しながら自己実現を支える][医師としての役割を振り返りながら患者に関わる]が生成された。
【考察・結論】医師は,先天性心疾患をもつ思春期の患者の病気認知は発達段階や個人特性に影響を受けていると認識していた。また,親や社会の理解が患者の自立に重要な役割を果たしていると捉えていた。医師は,成長や将来を見据え,患者の希望や生活に配慮しながら自己管理を促していることが明らかとなった。自立につながる病気認知を育むためには,親と協働しながら病気の理解を深めることや,社会適応を支える姿勢が重要である。今後,多機関連携を強化し,より包括的な支援を検討する必要がある。