講演情報

[II-P01-3-01]Nykanen RFワイヤを用いたPTPVを施行したPA/IVSの治療経過

河内 貞貴, 星野 健司, 真船 亮, 百木 恒大, 増田 詩央, 大森 紹玄, 築野 一馬, 中村 祐輔 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)
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キーワード:

PA/IVS、PTPV、Nykanen RF wire

【背景】PA/IVSの治療戦略として、右室や閉鎖した肺動脈弁の状態によってはカテーテル治療が第一選択となり得る。当院では、1998年からPA-IVSに対してガイドワイヤーによる肺動脈弁の穿通およびバルーン拡張術(PTPV)を行ってきたが、2017年からはNykanen RFワイヤ(RF wire)を用いている。【目的・方法】RF wireの使用開始から7年が経過し、症例数も一定数蓄積されたため、その効果と肺動脈弁の予後を評価することを目的とした。2017年1月から2024年12月までにPTPVを行ったPA/IVS症例を後方視的に検討し、初回PTPV後の治療経過をまとめた。【結果】対象期間中のPA/IVSは14例であり、11例にPTPVを施行した。全例RF wireを使用しPTPVを行ったが、1例はRF wireの通過は可能であったが、バルーンカテーテルが通過せずPTPVを断念した。PTPV時の日齢:9-97(中央値15)、体重:2.6―4.1kg(中央値3.3kg)、肺動脈弁輪径:4.4-6.5mm(中央値5.2mm Z=-2.43)、右室圧/左室圧:0.96-2.04(中央値1.68)であった。成功した10例はフォローアップ期間(1年3か月-7年7か月)で全例2心室循環が成立しているが、5例は肺動脈弁に外科的介入を要した。外科介入を施行した1例は、2回目のPTPV後に肺動脈解離を起こしていたためその後のカテーテル治療を断念し外科治療へ進んだ。外科介入を行った5例ともに右室流出路、肺動脈弁狭窄、右室の発育が介入の主因であった。【考察】我々は対象期間7年で右室形態、冠動脈循環から適応ありと判断された11例にRF wireを用いたPTPVを行った。成功した10例中半数は肺動脈弁に外科的介入を要したが、全例で2心室循環が得られており、良好な経過と考える。RF wire導入により、PTPV時の透視時間も比較的短時間で、PA/IVSにおける初回介入のカテーテル治療としては、その後のPRも許容範囲であり、安全性・有効性ともに期待通りであると考える。