講演情報
[II-P01-3-02]先天性心疾患治療における新規大口径バルーンの有用性
○藤田 早紀, 矢崎 諭, 嶋 侑里子, 松村 雄, 小林 匠, 齋藤 美香, 吉敷 香菜子, 濱道 裕二, 上田 知実, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)
キーワード:
大口径バルーン、PTPV、PTA
【背景】先天性心疾患の中でも、ファロー四徴や肺動脈閉鎖/肺動脈狭窄などでは外科的治療に加えてカテーテル治療が必要となることが多い。成長した対象病変ではより大口径のバルーンが求められるが、適切なバルーンがなくダブルバルーン法を選択せざるを得ない場合があった。今回は、新規大口径バルーンを使用した症例を検討し、その有用性を評価した。【症例】2024年2月1日から2025年1月31日までに、当院で新たに導入された大口径バルーンを使用してテーテル治療を行った症例は7例(男児6例、女児1例)であった。年齢は4歳0か月~16歳5か月(中央値:7歳7か月)、身長は94.0~172.9cm(中央値:122.0cm)、体重は13.0~61.6kg(中央値:24.3kg)であった。二心室修復例が6例、単心室修復例が1例であった。TRIVAL Catheterを使用した肺動脈弁形成術が2例、ATLAS GOLD Catheterを使用した右室肺動脈導管から肺動脈に対する血管形成術が5例、同カテーテルを用いたTCPC conduitから肺動脈への血管形成術が1例行われた。いずれの症例でも血管の拡大と圧較差の軽減が得られ、治療に伴う合併症は認められなかった。【考察】新規大口径バルーンは、小児での使用に無理のない7-8Frシースでより大きなサイズのバルーンを用いることが可能であり、従来はダブルバルーン法を要した中高耐圧バルーンが必要な狭窄病変や12mmを超えるサイズが必要な弁形成に対しても、シングルバルーンで対応可能となった。これにより、手技の簡便化や患者の負担軽減が期待でき、今回の症例では治療効果としても有効な結果を得ることができた。【結語】新たな大口径バルーンはよりロープロファイルで使用可能であり、手技はシンプルになり安全かつ有効な治療の完遂に寄与すると考えられた。