講演情報
[II-P01-3-03]右室流出路狭窄に対するバルーン形成術の有用性と適応の検討
○平田 拓也, 福村 史哲, 久米 英太朗, 赤木 健太郎, 馬場 志郎, 滝田 順子 (京都大学医学部附属病院 小児科)
キーワード:
右室流出路狭窄、経皮的肺動脈弁形成術、BTシャント
【背景】ファロー四徴症(TOF)や両大血管右室起始(DORV)の右室流出路(RVOT)狭窄に対し、心内修復術までの肺血流維持や肺血管成長目的で、動脈管(PDA)やRVOTへのステント留置の有効性が報告されてきている。しかし、RVOTステントは術中合併症も無視できず、また肺動脈弁輪切開(TAP)が必要となることが多い。一方、経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)は再狭窄の課題があるが、適応選択によりTAP回避が可能である。【目的】当院で近年施行したTOF・DORVのRVOT狭窄に対するバルーン形成術の経過を検討する。【症例】症例1はDORV、主に狭窄は肺動脈弁で弁下狭窄は軽度。日齢10にPTPV施行とともに酸素化改善し、1歳5か月の心内修復術まで待機可能であった。症例2はアラジール症候群合併のTOFで、強い弁下狭窄と左右末梢肺動脈低形成あり。日齢0, 28, 44にPTPVを施行し、一過性の酸素化改善を認めたが日齢45に永眠。症例3は肺動脈弁狭窄が主なTOF。日齢29にPTPV施行し、酸素化が著明に改善し心内修復術待機中。症例4は肺動脈弁狭窄主体のTOFで弁下狭窄は軽度から中等度。日齢21にPTPVを行い、一時的に酸素化改善するも再度悪化したためmBTシャントへ移行した。【考察】RVOTステントはBTシャントより術中合併症が少ないが、三尖弁逆流やステント移動のリスクがあり、また心内修復術時にTAPが必要となることが多い。一方PTPVは、弁狭窄主体症例ではTAPを回避し、末梢肺動脈の成長を促進する。弁狭窄が主体の症例はBTシャントを回避できる可能性があり、PTPVは考慮されるべき治療戦略である。【まとめ】バルーンによる右室流出路~肺動脈弁形成術は、適応選択によりTAPが回避可能であり、将来的な肺動脈弁治療介入回数の減少につながる可能性がある。