講演情報

[II-P01-3-05]体肺動脈シャント機能不全に対する経カテーテル治療の有効性と安全性の検討

伊吹 圭二郎1, 坪井 香緒里1, 西山 真未1, 岡部 真子1, 仲岡 英幸1, 小澤 綾佳1, 廣野 恵一1, 元野 壮2, 鳥塚 大介2, 青木 正哉2, 芳村 直樹2 (1.富山大学小児科, 2.富山大学附属病院心臓血管外科)
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キーワード:

体肺シャント、カテーテル治療、ステント

【背景】体肺動脈シャント(SPS)機能不全に対する治療法として、近年では経カテーテル治療の有用性が報告されている。本研究では、当院におけるSPSに対する経カテーテル治療の有効性と安全性、ステントとバルーン拡張の比較を含めた治療成績を検討した。【方法】当院で2016年4月から2025年1月までに実施したSPSに対する経カテーテル治療19セッション(15例)を後方視的に解析した。施行月齢中央値は5ヶ月(最小1ヶ月、最大21ヶ月)、体重中央値は7.0kg(最小2.5kg、最大11.6kg)。術後の最小内腔径/シャント径を評価し、ステント群とバルーン群の比較を行った。【結果】穿刺部位は大腿動脈17例、腋窩動脈を2例に認めた。手技はバルーン拡大8例、ステント留置10例、ステント再拡張1例で、完全閉塞例7例は全例再開通に成功した。手技に伴う合併症、関連死亡は認めなかった。SpO2は平均75.3±7.8%から85.3±7.9%(p<0.001)に、最小内腔径は平均1.8±1.4mmから3.9±0.7mm(p<0.001)に増大した。術後の最小内腔径/シャント径は、ステント群109±13%、バルーン群91±14%であり、ステント群の方が有意に拡大可能であった(p=0.013)。一方で、次の介入が予定手術であった割合は、ステント群60%、バルーン群37.5%であり、有意差は認めなかったが、ステント群で予定手術となる傾向が見られた。19セッション後の転帰は、9例(47%)が予定手術まで待機可能であり、遠隔期死亡2例、転院1例、追加ステント留置3例、動脈管ステント1例、緊急シャント手術1例であった。【結語】SPSに対する経カテーテル治療は安全で有効な治療法であり、特にステントによるシャント過拡張は血行動態の安定化に寄与し、予定手術の延期が可能となる可能性が示唆された。一方、バルーン拡張でも一定の効果が得られるものの、ステント群と比較すると拡張効果に差を認めた。腋窩動脈アプローチの活用により、アプローチ困難例への対応も可能になる可能性がある。