講演情報

[II-P01-3-07]異なるアプローチ方法で行なった乳児に対する動脈管ステント術3例の検討

丸山 篤志, 福山 隆博, 神野 太郎, 住友 直文, 小柳 喬幸 (慶應義塾大学医学部小児科)
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キーワード:

動脈管ステント、開胸ハイブリッド治療、IJVアプローチ

【背景】動脈管ステント留置術(DS)はハイリスクな動脈管依存性の先天性心疾患に対する姑息術として有用で, 大腿静脈アプローチが選択されることが多い. 昨年度当院で経験した3通りのアプローチ(大腿静脈(FV), 内頸静脈(IJV), 開胸ハイブリッド治療)によるDSを検討する. 【症例1】生後9か月, 体重7.5kgの女児. 染色体異常症による重症肺高血圧を有し, 動脈管管理から離脱困難で, Reverse Potts shuntとしてDSを行った. IVC閉塞のため右IJVアプローチ(5Fr)でFAと体外ループを作成した. 手技中に血圧の低下を認め, 昇圧剤やvolume負荷で対応し, 手技を完了した. 手技時間2時間33分, 透視時間26分, 造影剤使用量10 ml.【症例2】日齢25, 体重2441gの男児. 大動脈縮窄, 心室中隔欠損, 僧帽弁狭窄症に対し両側肺動脈絞扼術が行われていたがPGE1投与下に動脈管が収縮し, 右FVアプローチ(6Fr)でDSを実施した. 手技中に血圧の低下あり, 昇圧剤やvolume負荷で対応し, 手技を完了した. 手技時間55分, 透視時間13分, 造影剤使用量6 ml.【症例3】日齢43, 体重2067gの男児. 大動脈縮窄, 心室中隔欠損症に対して両側肺動脈絞扼術が行われていたがPGE1投与下に動脈管が収縮した. 消化器合併症により出生時から体重増加なく, 開胸ハイブリッド手術による肺動脈アプローチ(6Fr)でバイタル変動なくDSを完了した. 手術時間1時間43分(うちDS 45分), 透視時間5分, 造影剤使用量10 ml. 【考察】いずれのアプローチでも手技時間, 造影剤使用量は許容され, シース挿入部のトラブルも生じなかった. FV, IJVいずれのアプローチで手技自体は可能であったが, 右室が体循環を担っており, ロングシースが三尖弁と肺動脈弁を通過する際に循環動態に強く影響した. 一方ハイブリッド手技は循環動態に影響が少なく, 低体重児 (当院では2.3kg未満)ではカテーテル治療よりも安全性が高いと考えられた.