講演情報

[II-P01-3-09]当院におけるHarmony TPVIの現状と課題

佐々木 赳1, 大城 佑貴1, 桝野 浩影1, 中村 香絵1, 藤野 光洋1, 川崎 有希1, 杉山 央1, 吉田 葉子2, 鈴木 嗣敏2, 小澤 秀登3, 鍵崎 康治3 (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児不整脈科, 3.大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科)
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キーワード:

TPVI、Harmony、coronary compression testing

Harmony valveを用いた経カテーテル肺動脈弁植え込み術(TPVI)が2023年3月に日本国内で導入され、当院でも2024年2月より施行している。症例の蓄積とともに手技に慣れてきた一方で、より留置が難しい形態への対応も生じてくる。当院における1年間の経験を振り返り、今後の安全で合併症のないTPVI継続に向けた課題を検討する。2025年2月現在までにFit analysisに登録された13例のうち、Heart Team Conferenceの結果、2例が外科的PVRを選択し、6例にHarmony TPVを留置した。外科的PVRを選択した理由は1例が残存するVSD leakのため、もう1例が単一冠動脈の症例で事前の冠動脈圧迫試験で陽性のためであった。Harmony TPVIの対象は全て男性、年齢は22~54歳、体重は48~63kgで、心内構造はTOF術後5例、PA/IVS 1例であった。全例大腿静脈穿刺、RtPAアプローチで留置し、使用したデバイスはHarmony TVP22 1例、HarmonyTPV25 5例であった。手技時間は1時間49分~2時間23分で、初期3例と後半3例で差は認めなかった。手技中のデバイス回収施行例はなし。最終留置位置はannular positionが4例、supra annular positionが2例であった。術後の不整脈症例を2例認めた。手技による直接原因でははないadvanced AVBによるPMIが1例、annular positionにTPV25を留置した症例で術後1日目にNSVTを認めたが、経過観察のみで消失した。当院におけるHarmony TPVIの初期成績は、概ね良好な結果であると評価できる。右室流出路、肺動脈形態は多様であり、安全なTPVIを継続するためには、自施設のみならず他施設の経験も共有し、イレギュラーな事態に備える必要がある。