講演情報

[II-P01-4-01]循環器専門病院における成人移行支援の取り組み

増子 麻理子1, 宗川 一慶1, 岩塚 明美1, 加川 陽子1, 新田 優子2, 高橋 和恵3, 井澤 美穂4, 上田 知実5, 嘉川 忠博5, 矢崎 愉6, 磯部 光章6 (1.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 看護部, 2.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 連携・支援課, 3.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 リハビリテーション科, 4.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 産婦人科, 5.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 小児循環器内科, 6.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 成人先天性心疾患センター)
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キーワード:

成人移行支援、先天性心疾患、ピアサロン

循環器専門病院における成人移行支援の取り組み【背景】医療の発展により約9割の先天性心疾患患者が成人を迎えることが可能となった。しかし、現在成人している患者の多くが生命維持を優先とした医療を受けていたことからセルフケア能力が低く、身体面・精神面から社会に適合できず孤立しているケースが多い。そこで、サロン形式で患者教育や情報共有の場を提供し、円滑な移行医療の実現に資することを試みた。【目的】患者が自分の病気を理解し、社会の一員として自立した医療行動がとれるように正しい情報提供と教育を行う。【方法】自施設通院中の移行期に該当する若年患者に対し、類似疾患群のグループに分かれて「1自分の心臓を知ろう2飲んでいる薬の効果と注意点を知ろう3日常生活上の注意点を知ろう4同年代の仲間と語り合おう」の4点についてグループワークを行い、前後でアンケートを行った。保護者は別室において成人移行における家族の役割について意見交換を行い、サロン後にアンケートを行った。【結果】13歳から20歳の患者17名と保護者14名が参加した。サロン前のアンケートでは、自分が受けた手術名や現在飲んでいる薬の名前を言える患者が半数以下だった。サロン後患者からは「詳しく自分の病気と向き合ったことがなかったので良い機会だった」、保護者からは「他家族の話を聞きうちだけではないと安心できた」「娘の病気と向き合うことができた」という意見があがった。【考察】日頃診療の場で同様の情報提供や教育をしていたが、医療者が考えていたよりも患者の習熟度は低かった。今回の活動は、患者本人が疾患理解と自己管理の重要性を認識する機会となったと考える。【結論】今回新たな取り組みとして、診療外の場で患者教育や患者同士の交流の場を提供した。今後も同様の教育の場をつくり、患者が将来、就学就業や将来の結婚など社会の一員として自立・自律した行動がとれるよう支援していく。