講演情報
[II-P01-4-05]神戸大学グループの先天性移行期医療ネットワーク構築の現状と問題点
○日隈 智憲1, 近藤 亜耶2, 上村 和也2, 藤田 秀樹2, 白井 丈晶3, 向井 淳3, 大嶋 義博1 (1.加古川中央市民病院 心臓血管外科, 2.加古川中央市民病院 小児循環器科, 3.加古川中央市民病院 循環器内科)
キーワード:
成人先天性、移行期医療、問題点
【背景】兵庫県は昭和45年に県立こども病院が設立されて以降、多数の先天性心疾患(CHD)を治療してきた歴史から、多数のキャリーオーバーが発生している。また、それ以前も大学病院で治療された患者は、70歳台となってきており、小児専門病院では対応できないケースが増えてきている状況である。【目的】神戸大学グループの移行期医療体制の構築の現状と現時点での問題点を報告することで、今後の課題を明らかにする。【現状】神戸大学、加古川中央市民病院、兵庫県立はりま姫路医療センターの3施設が成人先天性心疾患(ACHD)の主要受け入れ施設となり、兵庫県立こども病院と連携してフォローアップにあたっている。これら4施設に加え、周囲の連携・協力施設の医師と、およそ半年に1回、webカンファレンスを開催し、方針に悩む症例などを検討している。ACHDの診療が可能な循環器内科医は、大学1名、加古川2名の常勤医と加古川は非常勤2名、姫路は非常勤2名で、こども病院で研修歴のある心臓血管外科医は、スタッフレベルで大学2名、専攻医2名、加古川は常勤1名、非常勤1名、姫路は常勤1名である。【問題点】神戸大学は小児科に循環器グループがないことから、CHDに対する敷居高く、CHDを専攻する医師が稀であることが背景にあり、内科・外科ともに医師の数が不足している。そのため、これらの施設間で、診療応援という形での協力が不可欠な現状である。また、こども病院以外で手術を受けた症例に関しては、当時の手術記録が残っていないケースも多く、再手術の際の情報がないことも問題である。更に、重症CHD患者には、精神発達遅滞のケースも多く、両親の高齢化とともに、通院が困難となる場合もあり、居住地近くの協力施設にフォローを依頼するなどの対応が必要な状況になりつつあるのと同時に、そういった患者で両親の付き添いができなくなった以降のフォローアップが課題となっている。