講演情報
[II-P01-4-07]社会保障制度における望ましい患者支援とは?:認定を目指した申請におけるジレンマ
○片岡 功一 (広島市立広島市民病院 循環器小児科)
キーワード:
社会保障制度、患者支援、学校生活管理指導表
【背景と目的】社会保障制度は,医療意見書の重症度が高いほど認定されやすい.一方,学校生活管理指導表の重症度が高いと制限が増え,過度な制限は患者のQOLを低下させる.地方公共団体(役所)から疑義照会を受けた医療意見書を通じ,望ましい患者支援を検討する.
【対象と方法】2021~2024年度に社会保障制度の医療意見書を作成した447件のうち,役所から重症度について疑義照会を受けた8例9件を後方視的に検討した.
【結果】患者の年齢は8~19歳,疾患はFontan(TCPC)術後7例(Unbalanced AVSD 3例,HLHS 2例,SA/SV 1例,TA/CoA 1例),Cantrell症候群合併PA/VSDのBT shunt術後1例.SpO2(室内気)93%未満6例.申請した社会保障制度は障害児福祉手当3件,特別障害者手当1件,特別児童扶養手当3件,指定難病1件,小児慢性特定疾病1件で,継続更新8件,新規申請1件であった.7例が複数の社会補償制度を利用し,6例は身体障害者1級と認定されていた.疑義照会を受け,役所の担当者に連絡し,事実と乖離せず非該当とならぬよう配慮して修正した.特別児童扶養手当の2例では,一般状態区分IIIの「軽い運動はできない」は,学校生活管理指導表でB以上の制限相当として,CおよびDでの提出との整合性を問われた.学校生活管理指導表は,学校生活の制限を少なくするよう体調が良い時を基準に作成(体調不良時の運動制限を付記)し,保障制度は,通常ないし体調不良時を基準として作成するため齟齬を生じうる旨を役所の担当者に説明してBに変更した.疑義照会に回答後,患者/家族の希望どおり認定された.
【考察と結論】患者が適切な医療を受け,成人期移行や自立を促すうえで社会保障制度は重要である.医師は大きな裁量を持ち,医学的解釈の幅の中で患者/家族のニーズに応えるよう,行政と連携し調整をはかることが期待されている.また,学会などを通じ,現行の社会保障制度の課題改善を目指す社会的使命を負っている.
【対象と方法】2021~2024年度に社会保障制度の医療意見書を作成した447件のうち,役所から重症度について疑義照会を受けた8例9件を後方視的に検討した.
【結果】患者の年齢は8~19歳,疾患はFontan(TCPC)術後7例(Unbalanced AVSD 3例,HLHS 2例,SA/SV 1例,TA/CoA 1例),Cantrell症候群合併PA/VSDのBT shunt術後1例.SpO2(室内気)93%未満6例.申請した社会保障制度は障害児福祉手当3件,特別障害者手当1件,特別児童扶養手当3件,指定難病1件,小児慢性特定疾病1件で,継続更新8件,新規申請1件であった.7例が複数の社会補償制度を利用し,6例は身体障害者1級と認定されていた.疑義照会を受け,役所の担当者に連絡し,事実と乖離せず非該当とならぬよう配慮して修正した.特別児童扶養手当の2例では,一般状態区分IIIの「軽い運動はできない」は,学校生活管理指導表でB以上の制限相当として,CおよびDでの提出との整合性を問われた.学校生活管理指導表は,学校生活の制限を少なくするよう体調が良い時を基準に作成(体調不良時の運動制限を付記)し,保障制度は,通常ないし体調不良時を基準として作成するため齟齬を生じうる旨を役所の担当者に説明してBに変更した.疑義照会に回答後,患者/家族の希望どおり認定された.
【考察と結論】患者が適切な医療を受け,成人期移行や自立を促すうえで社会保障制度は重要である.医師は大きな裁量を持ち,医学的解釈の幅の中で患者/家族のニーズに応えるよう,行政と連携し調整をはかることが期待されている.また,学会などを通じ,現行の社会保障制度の課題改善を目指す社会的使命を負っている.