講演情報
[II-P01-5-02]感染性心内膜炎の疣腫が疑われたが、Marfan症候群の粘液腫様変性であった一例
○杉山 幸輝, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 増谷 聡 (埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 小児循環器部門)
キーワード:
感染性心内膜炎、マイコプラズマ、Marfan症候群
【背景】発熱・心雑音・弁尖の疣腫様構造物を認めた場合には感染性心内膜炎(IE)を第一に鑑別に挙げる必要がある。稀ではあるがマイコプラズマによる感染性心内膜炎の報告がある。マイコプラズマ肺炎で入院後、心雑音と心エコーから当初IEを疑ったが、IEが否定的でMarfan症候群に伴う腫様構造物と診断した症例を報告する。
【症例】家族歴に特記すべきことのない7歳女児。マイコプラズマ肺炎(呼吸器film arrayとX線で診断)でA院に入院した際に心雑音を認めた。CRP 6.8 mg/dLと上昇し、心エコーで僧帽弁前尖が疣腫様で逸脱・逆流を認め、IEが疑われ当院に紹介された。僧帽弁逆流中等度、バルサルバ洞の拡大も認めた。マイコプラズマによるIEを疑い抗菌薬治療を開始し、肺炎は改善した。複数回の血液培養は陰性であった。以前受診したB院での心エコー動画を参照でき、同様の所見が非発熱時より認められることが確認でき、抗菌薬投与の長期化を回避して終了し、その後の所見の悪化を認めなかった。結合組織疾患を疑い、遺伝子検査でMarfan症候群の診断を確定した(FBN1のミスセンス変異あり)。僧帽弁前尖の肥厚はMarfan症候群にみられる粘液種様変性と考えられた。
【結論】IEに伴う疣腫に似た、非IEの疣腫様構造物の存在を念頭に置く必要がある。弁尖の構造物だけでは両者の鑑別は困難であり、弁や血管異常から結合組織疾患を積極的に鑑別していくことが正しい診断の一助になると考えられた。
【症例】家族歴に特記すべきことのない7歳女児。マイコプラズマ肺炎(呼吸器film arrayとX線で診断)でA院に入院した際に心雑音を認めた。CRP 6.8 mg/dLと上昇し、心エコーで僧帽弁前尖が疣腫様で逸脱・逆流を認め、IEが疑われ当院に紹介された。僧帽弁逆流中等度、バルサルバ洞の拡大も認めた。マイコプラズマによるIEを疑い抗菌薬治療を開始し、肺炎は改善した。複数回の血液培養は陰性であった。以前受診したB院での心エコー動画を参照でき、同様の所見が非発熱時より認められることが確認でき、抗菌薬投与の長期化を回避して終了し、その後の所見の悪化を認めなかった。結合組織疾患を疑い、遺伝子検査でMarfan症候群の診断を確定した(FBN1のミスセンス変異あり)。僧帽弁前尖の肥厚はMarfan症候群にみられる粘液種様変性と考えられた。
【結論】IEに伴う疣腫に似た、非IEの疣腫様構造物の存在を念頭に置く必要がある。弁尖の構造物だけでは両者の鑑別は困難であり、弁や血管異常から結合組織疾患を積極的に鑑別していくことが正しい診断の一助になると考えられた。