講演情報

[II-P01-5-08]術後難治性乳糜胸に対する胸管塞栓/破砕術の効果: どの症例に対しどの時期に行うべきか?

佐藤 慶介, 陳 又豪, 眞田 和哉, 渋谷 茜, 沼田 寛, 石垣 瑞彦, 芳本 潤, 満下 紀恵, 金 成海, 新居 正基, 田中 靖彦 (静岡県立こども病院 循環器科)
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キーワード:

術後乳糜胸、胸管塞栓術、リンパ管画像診断

【背景】先天性心疾患術後の乳糜胸は,多くの症例において保存的治療により改善するが,少ない頻度ではあるものの致死的な経過をたどる症例が存在する.近年,そのような症例に対する治療手段として,胸管塞栓/破砕術が有効ではないかとの報告がある.しかしながら,どの症例に対し,どの時期に行うべきであるかについては,一定の見解はない.【目的】術後乳糜胸に対する胸管塞栓術の適応と至適時期について検討すること.【対象と方法】2020年1月から2024年12月までの5年間に,当院で術後乳糜胸に対し胸管塞栓術を行った4症例について,診療録より後方視的に検討した.【結果】単心室治療群3例(左心低形成症候群/Norwood手術後2例,右側心房相同/共通房室弁形成+心室-肺動脈シャント術後1例,0.05±0.04歳),2心室治療群1例(Fallot四徴・主要体肺側副血行路/側副路統合+Rastelli手術後,1.4歳)であった(0.40±0.60歳).左心低形成症候群症例のうち1例は中枢リンパ流障害(乳糜流出量最大値165.7ml/kg/日)であり,術後83日に胸管破砕術を行ったが減少なく死亡,もう1例は肺内リンパ還流症候群(乳糜流出量最大値178.4ml/kg/日)であり,術後41日にリピオドール塞栓を行ったところ減少した. 右側心房相同症例は損傷漏出(乳糜流出量最大値247.2ml/kg/日)であり,術後22日にリピオドール塞栓を行ったところ停止,Fallot四徴・主要体肺側副血行路症例は肺内リンパ還流症候群(乳糜流出量最大値35.2ml/kg/日)であり,術後25日にリピオドール塞栓を行ったところ減少した.【結語】胸管塞栓/破砕術は,損傷漏出・肺内リンパ還流症候群症例において効果があるものと思われ,画像診断による病態診断が重要である.また,流出量が多く早い時期に治療することが望ましい.