講演情報
[II-P01-5-09]当院の10kg以下の小児心臓カテーテル検査におけるVSD患者による造影剤量の現状と視覚評価
○橋本 早紀1, 橋本 直樹1, 廣島 雅子1, 橋本 丈二1, 浦邊 裕亮1, 河室 優希1, 水元 貴浩1, 立石 恭規1, 佐川 浩一2 (1.福岡市立こども病院 放射線部, 2.福岡市立こども病院 循環器科)
キーワード:
小児心臓カテーテル、至適造影剤量、VSD
【背景・目的】小児心臓カテーテル検査における造影剤の適正量については十分に明らかになっていない。当院では、10kg以下の患者に対して体重1kgあたり1ccを基準とし、過去に作成した正常な心臓における造影剤の早見表を参考に、多くの検査で診療放射線技師の主観により注入量を決定している。しかし、早見表ではVSDなどの短絡がある疾患などは考慮されていない。さらに造影剤注入量の決定に寄与する診療放射線技師の主観の差について十分に検討を行えていない。そこで当院の10kg以下のVSD患者における造影剤注入量の現状の調査と視覚評価を行った。【方法】調査対象は、当院の10kg以下のVSD患者(200症例)とし、そのうち造影時に期外収縮が起こった症例は除外した。各部位毎(LV,A-Ao,RV,MPA)の造影剤注入量(VD)を体重で除した値(VD/kg)を体重で比較し、QP/QSと造影剤量との関係を検討した。視覚評価は、VSD患者30症例の各造影場所を診療放射線技師6名により造影剤の充満度を5段階で評価し、観察者間の一致度を算出した。【結果】LVでのVD/kgは体重6kg以上では1.2-1.5の範囲であったが、6kg未満では低体重になるにつれ、1.5-2.0まで上昇した。Qp/Qsと比較してみるとQp/Qsが2.0でVD/kgは1.5、3.0以上になると1.7-2.0まで上昇し、R=0.521と有意な相関を認めた。RVでもほぼ同様な傾向であったが、VD/kgはLVよりもやや小さく、ばらつきが大きくなった。MPAとA-Aoでも同様であったが、VD/kgは1.5程度までであり、特にMPAではばらつきが大きかった。視覚評価の一致度は、まずまずの一致度であった。(k = 0.41 ± 0.15)。【結語】VSD患者では基準量より造影剤量を多く設定する必要があり、Qp/QsやMRなどの血行動態をカテ前にエコー、CT、MRIなどで確認しておく必要がある。今後、造影剤注入量の基準値や増減の指標にしていきたい。