講演情報
[II-P01-5-10]心臓カテーテル検査における心血管M R I検査併用の有用性:得られた結果をどう解釈するか
○名和 智裕1, 東谷 佳祐1, 提島 丈雄1, 前田 昂大1, 澤田 まどか1, 高室 基樹1, 今井 翔2 (1.北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科, 2.北海道立子ども総合医療・療育センター 放射線部)
キーワード:
CMR、Fick、酸素消費量
【背景】先天性心疾患児の血行動態評価において, 体血流量(Qs), 肺血流量(Qp), 心室容積の測定は重要で, 心臓カテーテル検査(Cath)や心臓大血管MRI検査(CMR)が実施される。特にFick法を乳幼児に用いる場合は, 酸素消費量(VO2)の実測も難しく結果の解釈に注意が必要である。【目的】1歳未満の乳児における両検査の特徴を明らかにする。【対象】当センターにおいて2019年8月から2025年2月までにCathとCMRの両検査を実施した先天性心疾患を有する1歳未満の乳児48名(年齢7.2±2.9ヶ月)とした。【方法】Cathは全例で気管内挿管下の人工呼吸器管理よる全身麻酔で実施しており, Fick法を用いてQp, Qsを算出し, Volumetryを用いて心室容積を測定した。なお, 1歳未満のVO2は190 mL/m2・minと仮定した。一方, CMRは2D-Phase Contrast法を用いてQp, Qsを算出し, Cine MRを用いて心室容積を測定した。また, Cath時のSaO2値, SvO2値, Hb値と, CMR時のQsを酸素需要式に当てはめることでVO2値(CMRVO2)を算出し, 両検査における数値を比較検討した。【結果】CathとCMRでは, Qsは相関を認めず, Qpは正の相関(r=0.67, p<0.001), Qp/Qsは弱い正の相関(r=0.24, p=0.10), LVEDVIとRVEDVIは正の相関を示した(それぞれr=0.68, 0.72, ともにp<0.001)。また, CMRVO2 180 ± 45.6 mL/m2・minであった。【考察】1歳未満のVO2 190 mL/m2・minは概ね妥当な仮定であるが誤差が大きい。過大評価されたVO2を使用すると, 血流量が過大評価され血管抵抗が過小評価される。特に肺血管抵抗は手術適応を含めた治療方針へ影響を及ぼす可能性がある。また, VO2の実測が難しい乳児例の場合, CMRを併用することでCath結果の解釈の妥当性が検証できる。さらに, 乳児例においてもCMRを用いた心室容積測定は有用で経時的な評価に使用できる。【結語】CMR併用のCathは有用である。