講演情報

[II-P01-6-03]低身長を契機に45, X/46, XYモザイク型Turner症候群と診断した左心低形成症候群の1例

鈴木 康太1, 粟野 裕貴1, 松木 惇1, 藤井 隆1, 浅井 優作1, 沼倉 周彦2 (1.山形大学医学部附属病院 小児科, 2.埼玉医科大学病院 ゲノム医療科)
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キーワード:

HLHS、Turner症候群、低身長

【はじめに】Turner症候群は、大動脈縮窄症や左心低形成症候群 (HLHS)といった左心系閉塞性疾患の合併が多いことが知られている。Turner症候群のうち、モザイク型は全体の半数程度で非モザイク型と比較して症状が軽微であり、特徴的な外表奇形を認めないこともある。今回、HLHS、フォンタン術後で低身長を契機に45, X/46, XYモザイク型Turner症候群と診断した1例を経験したため報告する。
【症例】10歳女児。胎児エコーでHLHSが疑われ、在胎38週に2569gで出生した。日齢1に両側肺動脈絞扼術、生後2か月にノーウッド手術とBTシャント手術、生後7か月にグレン手術を施行され、左肺動脈の閉塞に対しステント留置を経て、2歳3か月で心外導管型フォンタン手術に到達した。その後、3歳頃から年々成長率の低下を認め、10歳時には体重19.7 kg (-2.0SD)に対し、身長119.6 cm (-3.1SD)と低身長が顕著となった。右心機能は保たれ、房室弁逆流は軽度で循環動態は安定しており、栄養状態も良好なことから内分泌疾患や染色体異常の可能性が考えられ、精査の方針とした。身体所見で翼状頚や外反肘は認めず外性器は女性型だったが、染色体検査では、G分染法で46, XY[25]/45, X[5]であり、45, X/46, XY性染色体モザイク型Turner症候群と診断した。
【考察】モザイク型Turner症候群は外表奇形が軽微なことから、思春期以降に第二次性徴の欠如を契機に診断されることが多い。Y染色体を有するモザイク型Turner症候群では、前癌病変であるgonadoblastoma発症のリスクがあるため、本邦では予防的な性腺摘出が推奨されており、早期診断が重要である。本症例は循環動態が安定し栄養状態が良好にも関わらず、低身長が顕著なことからTurner症候群の診断に至った。複雑先天性心疾患の術後患者では発育不良をしばしば認めるが、本症例のように外表奇形が軽微でも染色体異常を有する例があるため注意が必要である。