講演情報
[II-P01-6-04]歌舞伎症候群における腎機能の検討 -先天性心疾患および腎尿路異常との関連性-
○浅井 ゆみこ, 金 基成, 酒井 瞭, 藪崎 将, 浦田 晋, 三崎 泰志, 小野 博 (国立成育医療研究センター 循環器科)
キーワード:
歌舞伎症候群、腎機能、周術期
【背景】歌舞伎症候群 (KS) は稀な先天異常症候群であり, 約50%に先天性心疾患 (CHD), 約40%に先天性腎尿路異常 (CAKUT) を認める. 腎移植を要する症例も報告されているが, KSの長期的な腎機能に関する報告は少ない.【目的】当院のKSの臨床的特徴を調査し, CHDおよびCAKUTとの関連性を含めた腎機能を検討する.【方法】当院で歌舞伎症候群と病名登録された26例のうち, 診療録から診断が確認できた24例を対象とした. CHD合併15例 (63%), CAKUT合併5例 (21%), そのうち両者合併4例, いずれも合併せずが8例であった. 腎機能の追跡が可能であった17例(CHDのみ8例, CAKUTのみ4例, CHD/CAKUT合併4例, いずれもなし4例)について, eGFR を後方視的に検討した. 腎機能評価時年齢は0歳6か月から25歳2か月 (中央値12歳10か月) であった.【結果】2例 (13%)で遠隔期に腎機能低下を認め, いずれもCHD/CAKUT合併, 左心低形成症候群 (HLHS)であった. 1例は馬蹄腎+HLHS, Fontan術後の症例で, 14歳から心不全が増悪し, 15歳から腎機能低下がみられ, 17歳で亡くなった. eGFR 19.5 mL/min/1.73m2であった. もう1例は両側異形成腎+HLHS, Norwood+Glenn術後の6歳でeGFRは周術期に36.2 mL/min/1.73m2まで低下し, その後改善はみられたが遠隔期に 62.2 mL/min/1.73m2と軽度腎機能低下を認めた. その他15例では, CHD/CAKUT合併群の2例 (大動脈縮窄症 (CoA)+馬蹄腎 (17歳) および CoA, 心房中隔欠損症 (ASD)+左異所性異形成腎 (10歳)) を含め腎機能低下を認めなかった. また腎機能が追跡できなかったHLHS症例 (2例) にCAKUTの合併はなかった.【考察】本検討では, KSにおける腎機能障害の頻度は低くみえるが, 長期的な腎機能を評価するにはさらなる追跡が必要である. またCHD/CAKUT合併群でのみ腎機能障害を認め, 特にHLHSでは腎機能低下リスクが高い可能性が示唆された. 心機能が腎機能に影響を与えている可能性もあり, 症例の集積が必要である.